備える.jp
サイトメニュー仕事依頼・お問合せ

Voicyそなえるらじお #878 松本サリン事件から30年…化学兵器テロから身を守る方法は?

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #878 松本サリン事件から30年…化学兵器テロから身を守る方法は?

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月27日(木)、本日も備えて参りましょう!

最悪の無差別テロから30年

本日のテーマは「松本サリン事件」のお話です。

ちょうど30年前の本日、戦争以外の理由で化学兵器が初めて使われた、無差別テロ事件が発生しました。死者8名、数百名の重軽傷者が生じるという最悪の被害をもたらしたこの事件について、改めて振り返りたいと思います。

松本サリン事件

1994年(平成6年)6月27日の深夜から、よく28日の早朝にかけて、長野県松本市の市街地で、化学兵器としても使用される神経ガス、猛毒のサリンが散布されるという無差別テロが発生しました。このサリンの影響で、周辺住民7名が即時に死亡、重傷を負った1名が後に死亡、さらに数百名が重軽傷を負うという大惨事となりました。通称、松本サリン事件の発生です。

サリンという名称の神経ガスは、もともと第2次世界大戦中に、ナチス・ドイツで開発された化学兵器です。非常に毒性が強く、呼吸や皮膚から体内に吸収されると、数分で症状が現れて、わずかな量でも死亡する最悪の毒ガス兵器のひとつです。あまりにも毒性が強いため、開発したナチス・ドイツ自身も、連合国側の報復ガス攻撃を恐れて、結局戦争中に使用されることはありませんでした。それほど酷い毒ガスがサリンです。

このサリンを、かつて日本に存在したカルト宗教団体にしてテロ組織であった、オウム真理教が科学的な合成に成功し、松本サリン事件や翌年の地下鉄サリン事件など、無差別テロ事件に使用したのです。

ところでオウム真理教による松本サリン事件は、なぜ発生したのでしょうか。公安庁がまとめて発表している経緯としては次の様になります。まず、1991年にオウム真理教が、長野県松本市内に教団施設の新規建設を計画しました。しかし地元住民がこの計画に反対し、法廷闘争に発展しました。そして裁判の結果、教団は当初よりも規模を縮小した計画への変更を余儀なくされます。

この、オウム真理教に不利な判決をもたらした裁判所に対して、教団は強い敵意を持ったということです。そして1994年、教団施設の売買契約についてさらに不利な判決が出る可能性があったことから、長野地方裁判所松本支部の裁判官および周辺住民を殺害することを目的に、裁判所にサリンを散布する計画を立てます。

その後目標を裁判所の宿舎に変更し、1994年6月27日の深夜、オウム真理教の構成員らが、改造した特別製のサリン噴霧自動車を使用して、裁判所職員宿舎に向けてサリンを散布しました。その結果、裁判所の宿舎および、これとは無関係の住宅やマンション住民を巻きこみ、翌朝までに7名が死亡するという無差別テロに発展したのです。

この松本サリン事件や、1995年の地下鉄サリン事件を経験している現在でこそ、このような事件が生じた場合は「まさかサリンか」と想像出来ますが、当時はサリンが、日本の市街地で、無差別テロの兵器として使用される、などと誰も想像することが出来ず、何が生じたのかわからないまま重傷者への対応や、警察の捜査が行われ、大きな混乱をもたらしました。散布された物質がサリンであると判明したのは、約1週間後のことでした。これが松本サリン事件の概要です。

化学テロにどう対応するか

松本サリン事件は、その後の警察の捜査やマスコミの報道において、深刻な冤罪被害をもたらしたことも特徴に挙げられます。冤罪事件や、マスコミによる決めつけ報道、また昨今ではXやYouTubeなどのSNSを用いた言いがかりや名誉毀損などの問題もよく生じますが、自分の命に関係の無い事件などは、オモシロおかしく騒ぎ立てることを避けた方がよい、ということを認識すべきと思います。

さて、サリンのような化学兵器テロが発生した場合、身を守る方法というのはあるのでしょうか。外務省がテロ対策についての記事を公開していますので、これを参考にご紹介します。

多くの化学兵器には、独特のニオイと色があるそうですが、散布されたことを即座に確認するのは非常に困難です。たまたまカナリアをカゴに入れていたり、胸ポケットになぜかインコが入っていたような場合にはトリが察知してくれるかも知れませんが、恐らくこれは稀な状況です。

そのため、現実的には化学兵器によるテロが起きた直後、誰かが倒れたり悲鳴を上げることで、それを察知する可能性が高くなります。こうした状況に巻きこまれた際、スマホを取り出して写真や動画の撮影を始めるのではなく、その場を離れる、そして119番・110番通報をする、という対応が必要です。

また、突然「窓を閉めて屋内に退避してください!」といった指示が行われた際に、なんだろうといって外に出るようなことをせず、おとなしく指示にしたがうという意識を持つことも重要です。防護服やガスマスクがなければ、化学兵器によるテロに対応することはできないため、とにかく逃げる、閉じこもる、指示にしたがう、という対応が重要です。

本日も、ご安全に!

本日は「松本サリン事件」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

新着のブログ記事

ブログカテゴリ

備える.jp 新着記事