Voicyそなえるらじお #861 6月3日の能登半島M5.9の地震…緊急地震速報が荒ぶった理由
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、6月4日(火)、本日も備えて参りましょう!
迷ったら通報を
本日のテーマは「能登半島地震」です。
6月最初の月曜日、昨日6月3日の朝、緊急地震速報の音で飛び起きた方が多かったのではないでしょうか。本日は、昨日能登半島で発生した大きな地震のお話です。
再びの大地震
2024年6月3日(月)早朝6時31分、能登半島を震源とする、マグニチュード5.9、深さ10キロ、最大震度5強を観測する大きな地震が発生しました。この地震による死者の報道はありませんが、負傷者の発生、一連の地震活動で被害を受けていた住宅の倒壊等の被害が発生しています。
気象庁の発表では、この地震は能登半島で数年間継続している一連の地震活動で生じた地震のひとつということで、今後も同じような地震が続くと警戒を出しています。特に今後1週間程度は、最大震度5強程度の地震に警戒するよう、強く呼びかけています。被災地にお住まいの方、ボランティアなどでお出かけの方、ともにいつでも強い地震が生じるという認識で、注意をなさってください。
緊急地震速報
今回の地震は、マグニチュード5.9という地震の規模と比較し、かなり広範囲に緊急地震速報が発表されました 。北は秋田県から西は兵庫県まで、能登半島を中心する広域に緊急地震速報が発表され、朝6時31分、この音で飛び起きたという方も多かったのではと思います。
この時私は、講演会のためホテルに前泊をしており、栃木県の北部、大田原市におりましたが、緊急地震速報の音で飛び起きました。ホテルの室内というのは、基本的に転倒物なども少なく、緊急地震速報を受信した際は、その場で身をかがめるなどの行動が適切ですが、布団を被ってスマホを眺めながら小さくなっておりました。今回の緊急地震速報は、なぜこれほど広範囲に発表されたのでしょうか。
そもそも緊急地震速報は、発生した地震の最大震度が5弱以上と想定される場合に、震度4以上が想定される地域を対象に発表されます。今回の地震では、石川県輪島市と珠洲市で震度5強が観測されていますが、震度4以上を観測したのは能登半島に限られますので、本来の仕組みであれば、緊急地震速報も能登半島地域にだけ発表されるはずです。
ところで、緊急地震速報は、発表されてから1秒単位でどんどんデータが修正され、第一報から次々と修正報が発表されます。今回の地震でも、朝6時31分43秒に緊急地震速報の第一報が出され、その後約100秒間で第20報までの修正が出されました。
気象庁の発表によれば、今回の地震は狭い地域で複数の地震が同時に発生し、これが緊急地震速報のシステムを惑わせ、第1報から4.8秒後の第4報ではマグニチュード6.5、最大震度6弱、さらに第1報から5.3秒後に出された第5報では、マグニチュード7.4、最大震度7と想定され、これが広い範囲に緊急地震速報を出す原因となりました。
最大震度7が予測された第5報では、北は秋田県、西は兵庫県までの広い範囲で震度4以上が想定されたため、ここに含まれる地域全域に対して緊急地震速報が発表されることになりました。
その後、第6報、第7報でデータが修正され、マグニチュードと震度が下方修正されましたが、緊急地震速報は一度発表された速報の取消はされないため、多くの方が緊急地震速報を受信しながら、なかなか揺れが生じず、あれ?おかしいな?と思った頃に、緊急地震速報ではなく地震情報が発表され、さっきの地震は能登半島だったのか、自分の所は余り揺れなくて良かった、と認識したという流れになります。
今回は結果として誤報になった地域が広かったですが、それはたまたまです。次に受信する緊急地震速報では、大地震が自分の足下で生じないとも限りません。緊急地震速報がなった際には、まず身を守る行動を取り、その後情報を集めるという順番を意識して下さい。
本日も、ご安全に!
本日は「能登半島地震」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!