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Voicyそなえるらじお #911 台風くらいで運休とはけしからん!ではもう維持できないのが日本

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #911 台風くらいで運休とはけしからん!ではもう維持できないのが日本

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、8月15日(木)、本日も備えて参りましょう!

備え・防災は日本のライフスタイル

本日のテーマは「台風と防災」のお話です。

現在接近中の台風7号の影響を受け、昨日8月14日にJR東海が、8月16日の東海道新幹線について、東京~名古屋間を全便運休にすると発表しました。新幹線の運休が2日前に発表されるのは異例のことですが、お盆の帰省ラッシュにぶつかるタイミングでもあり、前日の運休で身動きが取れなくなる方々を考慮してのことと思われます。

今回は台風と防災のお話です。

計画運休・計画休業が増えている

昨今、台風や大雪など、事前に発生が分かる自然現象に対する、交通機関の計画運休や店舗の計画休業が増加しています。かつては、大雨で新幹線に長時間閉じ込められたり、台風なのに会社から出勤命令が出てこの会社はブラックだと言われたり、そうしたニュースなどもよく見聞きしましたが、最近は社会全体が災害に対して売上よりも安全を選択する方向に進んでいる様に見え、これは大変素晴らしいことと言えます。

現在日本は、災害に対して2つのネガティブな要素を抱えています。ひとつは地球温暖化による影響で、大雨の頻度が増えたり、冬の大雪が極端化するなど、特に気象災害のリスクが増加していること。もうひとつは高齢化と人口減により、日本の経済や体力が長期的に弱まっていくことが確実であることです。今後50年、100年、敵は増加するのに味方や兵糧は減って行く、これが日本の確定した将来像です。

このような時代を迎えるに当たり、社会や経済も従来通りに回すことはできません。自然現象による影響が生じそうな場合、社会に余裕があればイケイケドンドンなパワープレイも可能ですが、社会に余裕がなくなるほどに保守的な対応を取らざるを得ないのは仕方のないことです。

あるいは災害が想定される状況においては、例えば店舗をお休みにしたり、営業時間を短縮したりという対応も取られますが、これを許容する社会に変えていかなければなりません。台風の日に鉄道が止まるのは困る、スーパーが休業するのは困る、確かにその通りです。

しかし、台風の日に会社を動かすためには、当然誰かが仕事をする必要がありますし、経済はどこかで全てつながりますので、どこかのお店を開けるためには、関わる多くの人が平常通りに仕事をしなければならない、これでは安全対策はできません。

最近の計画運休や計画休業は、備え・防災を日本のライフスタイルにするための考え方として、良い方向ではないかと思っています。

サービス低下を許容する

今までの日本は、多少のリスクよりも経済最優先でしたが、経済よりも安全最優先という意識が社会に広まるきっかけとなった出来事のひとつが、新型コロナウイルス2019であったと思います。

2020年のコロナ禍における3年間の自粛社会を全ての国民が経験したことで、会話は対面ではなくオンラインでもできることを知り、店舗は24時間営業が当たり前ではないことを知り、お客様は神様レベルのサービス維持が当然でないことをしりました。

いままで提供されていたサービスの水準はものすごく高くて、そこまで頑張らなくても社会は周るということを私たち全員が実感した訳です。会社単位で、現場単位で、創意工夫による素晴らしいサービスを提供する努力はもちろん必要ですが、

台風、大雨、大雪などが来ることが分かっている状況においては、普段と異なるサービスレベルになることを、それほど疑問視しなくなっているのが昨今の状況です。これは防災的には間違いなく良いことですし、日本の将来的にも受け入れざるを得ない状況ですし、サービスレベルが落ちることを許容する心の持ち方が重要ではないかと思います。

ということで、顧客と働く自分たちの安全と健康を第一に考える会社やサービスは、ちょっとくらいの災害でビビりすぎ、ふざけんな。ではなく、こういう会社は安心出来るから普段から使おう、そういう気持ちを持つことが重要だと思います。もちろん安全はコストですから、値段も上がりますが、それを受け入れなければならない、ということはセットです。

本日も、ご安全に!

本日は「台風と防災」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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