Voicyそなえるらじお #934 地震と水害と…能登半島における水害に関する状況のお話
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、9月25日(水)、本日も備えて参りましょう!
続く災害
本日のテーマは「能登半島の水害」のお話です。
先週末の3連休にかけて、石川県能登地方で線状降水帯を伴う大雨が発生、死者・行方不明者10名、安否不明者5名の被害が生じる水害に発展しています。1月1日に発生した、令和6年能登半島地震による被害からの復旧途上にある能登半島の水害の状況に関するお話です。
弱り目に祟り目、泣き面に蜂、一難去ってまた一難…
今回の大雨は、先週末、9月20日(金)頃から日本海から東北地方にかけて停滞した前線に、台風14号から変わった熱帯低気圧が通過したことで、広い範囲で雷雨となりました。秋田県や石川県では線状降水帯が発生し、とりわけ石川県では3日間の総降水量が500ミリを超えるような、その地域における100年に一度というレベルの大雨となり、石川県輪島市・珠洲市・能都町には、9月21日に大雨特別警報も発表されました。
能登半島の河川はほとんどが山から海へ直接流れていますが、急勾配で、長さが短く、上流で降った雨がすぐに下流に到達し、あっというまに水位が上昇するという特徴があります。さらに1月1日の令和6年能登半島地震により海の護岸や川の堤防などにも大きな被害が発生し、5月には応急復旧を完了させ梅雨時期の水害は生じませんでしたが、それでも地震の前と比較すると治水力が低下している状況でした。
ここに、100年の1度レベルの大雨が降ったことで、河川の許容量を超え、能登半島では23の河川で氾濫が発生、8つの河川では1度だけでなく2回の氾濫が発生しました。洪水が生じた地域では、川の水が道路に溢れはじめてから、避難ができないレベルまで水位が上昇するのに15分から30分ほどしかかからなかったということで、文字通り逃げる間もなく水に飲まれる状況になっていたようです。
この結果、石川県内では死者・行方不明者が10名、安否不明者が5名と発表されています。また輪島市、珠洲市、能都町の56箇所で道路が寸断し孤立状態が発生、600名以上が避難所へ移動、ピーク時には断水が5000戸・停電が3500戸と、大きな被害が生じています。大地震はいつでもどこにでも生じる、大雨もどこにでも降るとは言え、2024年の被害が能登半島に集中しすぎている現状に言葉もありません。
犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたします。
地震と水害
今回の水害では、能登半島地震の被災者向けに立てられた、震災復旧の仮設住宅にも床上浸水などの被害が発生しています。この浸水は想定外ではなく、ハザードマップで浸水想定区域になっていた地域で生じた、分かっていた浸水害となります。
能登半島には平地が少なく、仮設住宅を建てられる場所も限られました。そのため、ハザードマップ上で水害のリスクが示されている場所にも建築をしなければ間に合わない状況となり、浸水被害が生じてしまいまいた。水害に対して危険な場所であることは分かっていたうえで、他に選択肢がなかったという状況による被害となります。
もちろん仮設住宅だけでなく、大地震の被害を免れた住宅や建物でも浸水被害が生じています。しかしこれも多くが、ハザードマップ上で浸水が想定されていた区域での被害であり、事前に避難をしていれば助かった可能性は高くあります。水害から命を守るためには、いかに安全な場所に家を建てるか、そして危険な場所から早く避難させるかが重要となります。
本日も、ご安全に!
本日は「能登半島の水害」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!