Voicyそなえるらじお #1203 高市政権の「日本成長戦略本部」防災視点で見るとどうなのか?
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執筆者:高荷智也
おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、11月7日(金)、本日も備えて参りましょう!
高市政権のお話
本日は「成長戦略本部」のお話をしたいと思います。
※一部Geminにて原稿を作成しています
先日、11月4日に政府が「日本成長戦略本部」を設置したという報道がありました。そなえるらじお的には、この「成長戦略」と「防災」がどうつながるのかが気になる所ですが、高市政権が掲げるこの政策は、私たちの安全な暮らしや災害からの立ち直りに直結する重要な要素を含んでいます。
そこで今回は、この報道を受け、直近の政権における重要政策の変遷と、その中で特に防災・危機管理という観点で重要なポイントについてお話しします。
政権が掲げた「成長の看板」の変遷
まず、近年の政権が経済政策の目玉として、何を掲げてきたか、その「看板」を見てみましょう。
| 政権 | 看板政策 | 焦点 |
| 岸田政権 | 新しい資本主義 | 「成長と分配の好循環」。人への投資やスタートアップ育成、DX(デジタル変革)が中心でした。 防災的には、安倍・菅政権の「国土強靱化」の取り組みを継承し、「新しい資本主義」の枠組み(経済安全保障など)と関連づけて大規模かつ継続的な投資として位置づけた。 「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(約15兆円規模)を推進し、インフラ整備を加速。 |
| 石破政権 | 地方創生2.0 | 岸田路線の理念を継承しつつ、「地方こそ成長の主役」。デジタル技術を活用した多極分散型社会を目指しました。 防災的には、岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」や「国土強靱化」の取り組みを土台に、それを「地方のレジリエンス(回復力)強化」という視点で掘り下げた。「防災庁」設置に向けた事務局の設置や検討を始動。 |
| 高市政権 | 強い経済の実現 | 「危機管理投資」を成長の肝とし、日本の供給構造を抜本的に強化することに焦点を絞っています。AI、半導体、防衛産業など17の戦略分野と結びつけて重点投資を促進。 防災的には、岸田政権の「国土強靭化」をインフラ面で引き継ぎ、さらに経済安全保障の観点から供給力の強靭化へと発展させた。 |
高市政権の目標は、前政権の掲げたデジタル化や地方の底上げを継承しながら、さらに一歩踏み込んで「危機への備え」を成長の核に据えたものだと言えるのです。
高市政権の司令塔「日本成長戦略本部」とは?
2025年11月4日に設置された「日本成長戦略本部」は、岸田政権の「新しい資本主義実現本部」を改組・改称した新しい司令塔です。
高市政権は「新しい資本主義」という名称を使用せず、代わりに「強い経済の実現」を前面に掲げました。この本部の最大の特色は、「危機管理投資」を成長の肝と位置づけ、リスクに対して先手を打つことで日本経済全体を強靭にするという考え方です。
注目すべき「危機管理投資」の4つの柱
この戦略の中で、私たちが特に注目すべき防災・危機管理に関連する主要な4つの柱があります。
防災・国土強靱化の加速
これは、災害による経済活動の停止を最小限に抑えるための投資です。重要インフラ(エネルギー、通信、交通)のレジリエンス(強靭性)を高めることが目的です。また、デジタル技術を駆使した災害の予測や情報伝達システムの構築も含まれます。
戦略的インフラの国内回帰
経済安全保障の観点から、もし海外でサプライチェーンが寸断されても、国民生活に必要な半導体や重要物資が滞りなく供給されるよう、国内での生産基盤を強化します。これも広義の「危機管理」です。
核融合技術(フュージョンエネルギー)への国家投資
次世代のクリーンなエネルギー源である核融合技術開発を加速させることで、輸入に頼らないエネルギー安全保障を確立し、大規模災害や国際紛争に強い安定的なエネルギー供給構造を構築することが狙いです。
防衛産業の強化と技術転用
防衛力の強化と同時に、防衛技術を核とした技術革新を促し、経済安全保障に資する産業基盤を強化します。この先端技術は、民間の防災技術やインフラ管理に転用され、国全体の防災力向上にも貢献することが期待されます。
まとめ:私たちの暮らしへの影響
高市政権の「日本成長戦略本部」は、単なる経済成長だけでなく、防災や経済安全保障という危機管理の視点を強く打ち出したものです。
地方のインフラ整備やデジタル化が進めば、私たちの住む地域がより災害に強く、安心できる場所になります。国の経済の司令塔が「危機管理」を成長の肝と位置づけた今、私たちも身近な「備え」への投資を改めて見直す良い機会かもしれませんね。
本日も、ご安全に!
本日は「成長戦略本部」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!