Voicyそなえるらじお #1050 黄砂の季節!PM2.5との違いと黄砂がもたらすメリットの話
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、3月25日(火)、本日も備えて参りましょう!
デメリットだけではない
本日は「黄砂」のお話です。
本日3月25日から明日26日にかけて、北海道を除く広い地域に黄砂の飛来に関する注意が呼びかけられています。本日は春から増加する黄砂のお話です。
※テキストはGrokで作成しています。
春のいやな風物詩「黄砂」…空が黄色っぽく霞んだり、車や洗濯物に薄い砂が積もったりする、あの現象の季節となりました。
黄砂とはそもそも何か
黄砂とは、主に中国やモンゴルにあるゴビ砂漠やタクラマカン砂漠といった広大な乾燥地帯で、強風によって巻き上げられた砂や塵が上空に運ばれ、遠くまで飛んでくる自然現象です。この砂塵の粒はとても細かく、大きさは0.001ミリから0.1ミリ程度。時には何千キロも離れた日本や韓国、さらには太平洋を越えてアメリカ西海岸にまで到達します。日本では気象庁が、黄砂を「視程が10キロメートル未満になる現象」と定義していて、空が曇ったような状態になるのが特徴です。歴史を遡ると、平安時代の貴族の日記にも「空が黄色く濁った」という記述があり、1000年以上前から日本でも観察されてきたんです。
ここでよく聞かれるのが、「黄砂とPM2.5って何が違うの?」という質問。PM2.5は「粒子状物質2.5」の略で、粒径が2.5マイクロメートル(0.0025ミリ)以下の超微粒子を指します。黄砂もこのサイズを含む場合がありますが、大きな違いは「起源」と「成分」にあります。黄砂は自然由来で、砂漠の砂や土が主成分。一方、PM2.5には、工場や車の排気ガスなど、人間活動による汚染物質が含まれることが多いです。でも共通点もあります。どちらも風で運ばれ、呼吸器に入り込むほど小さいため、健康に影響を及ぼす点です。実際、黄砂が飛来するとPM2.5濃度が上がることがあり、自然と人為的な要因が混ざり合う、複雑で興味深い現象なんですよ。
黄砂の多い季節・少ない季節とその理由
黄砂が最も多く観測されるのは春、特に3月から5月にかけてです。なぜこの時期に多いかというと、大陸の乾燥地帯では冬の間に地面が乾ききり、春になると強い季節風が吹くからです。例えば、中国北部では「春の嵐」と呼ばれる低気圧が発達し、時速50キロ以上の強風が砂を巻き上げます。一方、夏や秋は雨が多く、地面が湿っているため砂が舞いにくくなります。冬は寒さで地面が凍ったり、雪に覆われたりする地域もあるので、黄砂は少ない傾向にあります。ただ、最近は異常気象の影響で、季節が少しずれることもあり、予測が難しくなっている面もありますね。
黄砂による悪い影響と、その対策
黄砂には、残念ながら私たちの生活にマイナスの影響もあります。まず健康面では、細かい塵が呼吸器に入り込んで、咳や喘息、アレルギー症状を引き起こします。特にPM2.5が混じると、肺の奥まで入り込み、健康リスクを高めることがあります。環境省の調査では、黄砂の飛来日には呼吸器系の病院受診が増える傾向が報告されています。また、生活面では視界が悪くなって運転が危険になったり、農作物の表面に砂が積もって光合成が妨げられたり、太陽光パネルの発電効率が落ちたりします。工業製品でも、機械に砂が入り込んで故障の原因になることもあるんです。
対策としては、黄砂の飛来が予想される日には、マスクを着用するのが効果的。特にN95のような高性能マスクが、細かい粒子を防いでくれます。家では窓を閉めておき、エアコンにフィルターを付けるのも良い方法。洗濯物を外に干さず室内干しにしたり、車をこまめに洗ったりする工夫も有効です。気象庁が黄砂の予報を発表しているので、天気予報をチェックして、前もって準備するのがお勧めですよ。
黄砂による良い影響
一方で、黄砂には意外な良い影響もあります。例えば、黄砂に含まれる鉄やリンなどのミネラルが海に運ばれると、植物プランクトンの成長を助けます。これが魚の餌となる食物連鎖の底辺を支え、海洋の生態系を豊かにするんです。ハワイ大学の研究では、黄砂が海洋の二酸化炭素吸収を助ける可能性も示唆されています。また、陸上ではミネラルが土壌に供給され、農地が肥沃になる効果も期待できます。中国では、黄砂が運ぶ黄土が肥沃な土壌を作り上げ、黄河文明を支えてきた歴史もあります。悪い面ばかりではなく、自然界のバランスを保つ役割もあるんですね。
日本周辺以外の黄砂と同じ現象の事例
黄砂は東アジア特有に思えますが、世界中で似た現象が見られます。一つ目は、アフリカのサハラ砂漠。毎年、何百万トンもの砂塵が大西洋を越えて、南米やカリブ海、ヨーロッパに運ばれます。特に南米のアマゾンでは、サハラの砂に含まれるリン酸が熱帯雨林の栄養源となり、「砂漠がジャングルを支える」という不思議な関係が生まれています。二つ目は、中東の「シャマール」。夏に吹く強風が砂嵐を引き起こし、アラビア半島からペルシャ湾周辺に砂塵を広げます。これも黄砂と同じく、健康や航空に影響を与えますが、土壌にミネラルを供給する役割も果たします。地球規模で見ると、砂塵は地域をつなぐ架け橋なんですね。
黄砂と気候変動の関係
最近の研究で、気候変動が黄砂の発生パターンに影響を与えている可能性が注目されています。例えば、地球温暖化で砂漠化が進むと、砂塵の発生源が増えて黄砂が頻発するかもしれません。逆に、降雨パターンが変われば地面が湿って黄砂が減る可能性も。2020年の研究では、中国北部の植林政策が黄砂の量を減らしていると報告され、人間の努力が自然現象に影響を与え始めています。日本でも、将来、黄砂の量や時期が変わるかもしれません。
黄砂の観測と科学の進歩
黄砂を調べる科学も進歩しています。今では衛星を使って、黄砂の動きをリアルタイムで追跡可能。NASAや日本の気象衛星「ひまわり」が、黄砂がどこから来てどこへ行くのかを鮮明に映し出します。これで予報の精度が上がり、対策が立てやすくなりました。また、黄砂の成分を分析することで、大気汚染物質がどれだけ混じっているか、どの砂漠が起源なのかまで分かるんです。科学の力で、自然現象を解き明かしているんですね。
締めの言葉
黄砂は、私たちにとって迷惑な存在にも、恵みをもたらす存在にもなり得ます。自然の複雑さと、私たちの暮らしとの深い結びつきを感じますよね。これからも黄砂と上手に付き合い、その仕組みを理解していくことが大切です。
本日も、ご安全に!
本日は「黄砂」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!