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Voicyそなえるらじお #1053 ミャンマーの大地震に関する続報・耐震化と貧困状況のお話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #1053 ミャンマーの大地震に関する続報・耐震化と貧困状況のお話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、3月31日(月)、本日も備えて参りましょう!

ミャンマーでの大地震

本日は「ミャンマーの大地震」のお話です。

ミャンマー中部で、2025年3月28日(金)の15時20分頃に発生したM7.7の大地震から本日で3日目となります。人命救助が困難となる、いわゆる72時間がまもなく経過する状況ですが、現地からの被害状況は情報が更新されるたびに大きなものになっています。改めてこの大地震のお話です。

※このポストは2025/03/30の19時頃の情報を元に作成しています。

マンダレーの大地震

地震が発生した場所は、ミャンマーのおおよそ中心部辺りです。ここには旧首都ヤンゴンに次ぐミャンマー2番目の大都市マンダレーがあり、大地震の直撃を受けた形となります。この辺りはユーラシアプレートとインドプレートの境界に位置し、南北1000キロ以上の長さを持つ、ザガイン断層という巨大な断層が走っていました。

今回の大地震は、このザガイン断層が南北300キロほど長さに渡って、ずれたことによるものと想定されています。大地震後も大きな余震などが続いており、地震活動は終息していない状況です。

地震の直撃を受けたマンダレーの南250キロの辺りには、2006年に首都移転が行われた、ミャンマーの新しい首都ネピドーもありますが、この都市もおなじザガイン断層の真上にあり、地震の直後から誘発地震の様な形で、M5前後の地震が発生しています。これによる被害も生じているようで、ネピドーの国際空港では管制塔が倒壊するという被害も報道されています。ミャンマー周辺の広い地域で地震による被害が生じている状況です。

今回の大地震は、2024年の能登半島地震や、1995年の阪神・淡路大震災と同じく、いわゆる直下型地震です。マグニチュードが7.7と極めて大きく、しかもこれが地上10キロと大変浅い場所で発生したため、強い揺れが地表に伝わり、建物倒壊等の大きな被害をもたらしていると考えられています。

また、長周期地震動も発生したようで、震源から約1000キロ離れた隣国のタイ、首都のバンコクでもビルが倒壊するなどの被害が生じています。直近のニュース報道では、このバンコクの被害などが多く伝えられていますが、直撃を受けたマンダレーは被害が大きすぎてなかなか情報が出て来ず、広い範囲で生じている、伝わりやすい情報が先に報道されている状況と思われます。

この放送を収録しているのは地震発生から約2日後、3月30日の19時頃ですが、この時点で死者1600名以上、建物倒壊1500棟以上という情報が公開されています。ただ、これは判明している被害だけを伝えたもので、例えば世界の地震情報を取りまとめている機関、USGS・米国地質調査所からは、死者は1万人を超えるだろうという推計も公表されています。

被害の状況

SNSや各種ニュース報道でも、少しずつ現地の被害状況や映像などが報じられ初めていますが、とにかく建物の被害がすさまじいと言う印象です。石積みやコンクリートの建物の多くが文字通りバラバラに崩壊し、メチャクチャな状況になっています。

震源から約20キロの地点にあるマンダレーは、ミャンマーで2番目に大きい都市で人口は約100万人です。震源20キロ地点の100万人都市と言えば、1995年に生じた阪神・淡路大震災による甚大な被害をもたらした神戸市がまさにそれです。

この震災をもたらした兵庫県南部地震と比較すると、今回のミャンマーの地震はエネルギーの大きさで約4倍多く、より浅い場所で発生しています。また恐らくですが、建物の耐震性には大きな差があると思われますので、マンダレーで生じている被害は神戸を上回る、壊滅的なものになっているのではと想定されます。

建物の被害

現地から出はじめている写真や映像を見ていますと、バラバラに倒壊した建物が多い一方、その隣の道路や電柱は無傷のままになっている様子も多く見られます。場所によっては、そこまで強烈な揺れには見舞われなかったが、建物の耐震性が低いため、建物だけが倒壊してしまったのかと思われる様な場所も多そうです。

よく、日本で同じ規模の地震が生じていたら被害はゼロと想定される、というケースも多くありますが、津波を伴わない地震の多くは、建物倒壊や家具の転倒、火災による被害が大きくなりますので、建物の耐震性を強固にするほど被害を減らすことができます。人は地震の揺れで死ぬことはなく、構造物で命を落とします。地震を無くすことはできませんが、揺れによる被害は無くすことができるのです。

今回の地震が生じたザガイン断層は、定期的にM7~M8クラスの大地震が生じている地域です。本来は建物の耐震性などをガチガチにしなければならない地域ですが、問題があります。それはミャンマーが深刻な貧困問題に見舞われていることです。

ミャンマーは第二次世界大戦後に独立をしていらい、軍事政権による社会主義政策や弾圧などが続き、長い間経済的に厳しい状況が続いていました。2011年に民主改革が進み経済発展が始まりましたが、2021年2月に生じた軍事クーデターにより再び軍事政権へ戻り内戦が激化、現在では約5000万人の人口の内75%が貧困状況にあるとされ、とても建物の耐震化所ではないという状況が続いています。

日本でも、1923年の関東大震災以降、建物の耐震化の概念が取り入れられ、そのご100年をかけて地震に負けない街作りが行われてきましたが、それでも未だに大地震のたびに建物倒壊による大きな被害が生じています。世界で4番目の経済大国でもこの状況、つまり耐震化された都市を作るのにはものすごくお金と時間がかかるのです。

という状況もあり、マンダレーにおける地震の被害、とりわけ死者数などは今後数万人単位で増えていく可能性もあります。日本ではニュース報道などもほとんどされていない状況ですが、ミャンマーの大地震、しばらくは情報に注目いただきたいと思います。

本日も、ご安全に!

本日はミャンマーの大地震」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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