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Voicyそなえるらじお #1063 熊本地震から9年…耐震等級3が最低基準にならないモヤモヤ話

最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #1063 熊本地震から9年…耐震等級3が最低基準にならないモヤモヤ話

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月14日(月)、本日も備えて参りましょう!

掛け軸に飾りたい「家は耐震等級3」という文字

本日のテーマは「熊本地震と建物の耐震化」のお話です。

2016年4月14日・16日に発生した熊本地震から9年目を迎えます。地震対策で重要な住宅の耐震化のお話を改めていたします。

熊本地震・能登半島地震の被害

  • 旧耐震基準の家に大きな被害
  • に加えて、新耐震基準、新耐震2000年基準の家の中にも、大破・倒壊した建物が生じた
  • 完全に無事だったのは耐震等級3の住宅に限られる

なぜこうなったのか

新耐震基準、新耐震2000年基準、2025年の改正、いずれも…

● 倒壊など致命的な壊れ方をしない地震の揺れ

新耐震基準は、震度6強から震度7程度の大規模地震において、建物が倒壊・崩壊しないことを目標としています。これは、建物が激しい揺れに耐え、人命を守るための最低限の基準となります。

  • 大規模地震を想定: 旧耐震基準が震度5程度までの地震を対象としていたのに対し、新耐震基準はより強い地震を想定しています。
  • 人命の確保が目標: 建物の損傷は許容されるものの、倒壊や崩壊を防ぎ、居住者が安全に避難できる時間を確保することを目的としています。
  • 水平耐力の重視: 地震による水平方向の力(揺れ)に対して、建物が耐える力を強化する基準が導入されました(許容応力度計算、保有水平耐力計算)。

● 軽微な損傷すらしない地震の揺れ

新耐震基準では、震度5強程度の中規模地震に対して、建物が軽微なひび割れ程度の損傷にとどまることも目標とされています。

ということで、震度6強以上の揺れの「1発目」には耐えられても、それ以降の揺れに耐えられるかどうかは分からない、というのが現状の基準です。熊本地震では、2日間の間に、震度7が2回、6強が2回、6弱が3回生じました。これにより、倒壊した建物も多く生じています。

2025年の改正でも同じ考え方になっており、強い揺れでもそのまま住める家にしたいのであれば、渋滞性能表示制度で定められる耐震等級3を選ぶしかありません。

ただ…

  • 工務店の技術的な怠慢
  • 検査行政側のキャパシティの問題

などから、等級3が標準化されないため、自助で対応するしかありません。

本日も、ご安全に!

本日は「熊本地震と建物の耐震化」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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