Voicyそなえるらじお #1059 津波避難ビル・タワーの施錠は?緊急時のカギはどうすれば?
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執筆者:高荷智也

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、4月8日(火)、本日も備えて参りましょう!
解錠手段がある
本日のテーマは「津波避難ビル・タワー」のお話です。
今回はコメント欄に頂いたご質問への回答、コメントをくださいましたのは「ねこきち」さん。
『こんばんは。初コメです。18万人達成おめでとうございます。最近Voicyを聞き始めたばかりで、遡って聴いております。最近気になっていることを質問させてください。「津波避難ビルに休日や夜間も避難できるのか」です。おそらく休日や夜間は施錠されていたりすると思いますが、出先で大地震が起こった時のことを考えると不安です…。』
津波避難ビル・タワーの整備状況
大地震はいつでもどこにでも生じますが、これが海で発生した場合には津波を伴う恐れがあります。特に直近では、南海トラフ地震や、日本海溝・千島海溝沿いの大地震などがひっ迫していると想定されており、こうした地域における津波避難対策は最重要課題のひとつと言えます。
その対策の一環として行われるのが、津波避難ビルやタワーの整備です。2023年4月時点においては、全国で14,726箇所の津波避難ビルと、550箇所の津波避難タワーなどが整備されています。
ちなみに、全国に存在する津波避難ビルのうち81%が南海トラフ地震の防災対策推進地域に、8%が日本海溝・千島海溝地震の防災対策推進地域に存在します。また津波避難タワーも、85%が南海トラフ地震の防災対策推進地域に、残りの15%は日本海溝・千島海溝地震の防災対策推進地域に存在します。
南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝沿いの地震、これらの海溝型地震が発生した場合は、大津波に見舞われる可能性が高くありますので、最寄りの高台、あるいは津波避難ビル・タワーへ迅速な避難が必要となります。ここで気になるのが、今回ご質問で頂いた、カギなどはどうなっているのかという点です。
津波避難ビル・タワーのカギについて
通常、津波避難タワーは津波避難のために作られる施設ですので、大地震発止時のドア開放などは織り込み済で整備されます。一方、津波避難ビルは、オフィスビル、商業施設、マンションなど、既存の建物を指定する形で整備されますので、大地震発生時にカギはどうするのかという問題が生じます。
施錠の方法は、法律などで定まっているわけではないため、建物単位で対策がとられています。自宅が津波にのみ込まれる地域にあり、津波避難ビルなどへ逃げる想定の場合は、夜間休日などの大地震の際にはどうすれば良いのか、事前にビル管理者や市町村へ確認しておけるとよいでしょう。
津波避難ビル・タワーの施錠パターンとしましては…
- 24時間常時開放の施設
- 平時は展望台として開放されている津波避難タワーなどは、出入り口が常に開放されておりいつでも利用するコトができます。ただ、防犯上の理由などから、こうした24時間常時開放の施設は少数です。
- 自動解錠装置付きのキーボックス
- 地震の揺れを検知、あるいは揺れを検知したシステムからの通信を受けることで、施設の鍵を収納しているキーボックスの鍵が自動的に開く仕組みがあります。例えば震度5弱以上の揺れを検知すると、自動的にキーボックスが開いて鍵を取り出せるなどの仕組みです。
- ただし、遠方での大地震で津波が生じた場合、揺れは小さいのに津波が到達するというケースもあり、この場合は別の方法で鍵を入手しなければなりません。もっとも、揺れが小さければ管理者が速やかに鍵を空けられますし、震源が遠ければ津波到達までに時間がかかりますので、デメリットは事前の対策でなんとかできます。
- 物理的な破壊
- 津波避難ビルなどの入口には、蹴破って破壊できるような素材でドアが作られている場合もあります。マンションや団地のベランダで、お隣のスペースに避難するために破れる戸板のような素材です。一見難しそうに見えますが、こうした素材は子どもでも入口を蹴破れますので、躊躇なく破壊することが重要です。
- 人の手による開放
- 津波避難ビルなど、普段は一般施設として使用している建物の多くは、建物の管理者や自治体が鍵を管理しており、緊急時には職員などがかけつけて鍵を開けるというケースがあります。ただ、大地震などの発生で道路などが破壊されている場合は、物理的に到着することが難しいケースなどもあるため、施設によっては近隣の住民などに鍵を預けているようなケースもあります。
- ただ、津波の危険が切迫している状況では、鍵を空けるのを待っていられない場合もあります。この場合は緊急避難として、物理的にドアや鍵を破壊して中に入ることも法律上は許されています。命守るためにそれを破壊するしか手段がない場合は、ためらわずに行うと言うことも検討してください。
本日も、ご安全に!
本日は「津波避難ビル・タワー」のお話でした。
それでは皆さま、引き続き、ご安全に!