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Voicyそなえるらじお #1277 過去の震災経験や体験談は、次の災害における正解とは限らない

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

Voicyそなえるらじお #1277 過去の震災経験や体験談は、次の災害における正解とは限らない

おはようございます!備え・防災アドバイザー高荷智也がお送りする「死なない防災・そなえるらじお」、3月9日(月)、本日も備えて参りましょう!

あの前震から15年

今回の放送は「震災の経験」のお話です。

日本海中部地震

1983年(昭和58年)5月26日のお昼前11時59分、秋田県の能代市西方沖80km地点で、マグニチュード7.7の大きな地震が発生しました。日本海側で発生した地震としては、当時最大級のもので、全体で104名の死者が生じる大震災となりましたが、そのうち100名は津波による犠牲者でした。

陸地から離れた場所の地震であったため最大震度こそ5という規模でしたが、秋田県・青森県・山形県の日本海側沿岸部には、最大で10mを超える大津波が押し寄せ、大きな被害が発生しました。

地震の震源に近かった、青森県の深浦では地震発生から8分後に、秋田県の男鹿では地震発生から9分後に津波の第一波を観測しています。気象庁から津波警報が発表されたのは、地震発生から15分後のことで、すでに第一波が到達しはじめていたタイミングでした。

当時、大きな津波による被害を受けた地震があまり生じていなかったこと、また日本海では津波は起こらないという俗説などもあり、地震の後にすばやく逃げるという行動が行えず、津波による100名の死者につながったと想定されています。そしてこの地震から10年後、次の被害が生じたのです。

北海道南西沖地震

日本海中部地震からちょうど10年後、1993年(平成5年)7月12日の深夜22時17分、北海道奥尻島北方沖で、マグニチュード7.8のこれまた大きな地震が発生しました。日本海側で発生した地震としては、10年前の日本海中部地震を上回る、近代以降最大規模の地震です。

この地震では、震源に近い奥尻島で推定震度6の揺れを観測、ちなみに奥尻島の震度が推定6というのは、当時の奥尻島に地震計の設置がなかったためです。この奥尻島を中心に死者202名、行方不明者28名の大惨事を招きました。

この地震では、大きな津波が発生しました。地震発生から4~5分で、奥尻島の震源側海外に津波の第一波が到達しています。津波の規模も大きく、最大で16.8mの高さ、また最大の遡上高さは31.7mと、東日本大震災規模の津波が到達していました。

10年前の日本海中部地震では、津波警報の発表に15分かかっていましたが、その後警報の発表時間短縮をがんばった気象庁の成果もあり、奥尻島地震では、地震発生から5分後に津波警報を発表させることができました。

しかし、この地震では陸地と震源の距離が近く、津波警報はすぐに発表されたものの、そのタイミングではすでに津波の第一波、それも規模の大きな津波がすでに押し寄せていたのです。そしてもうひとつ問題となったのが、前回の津波被害の経験です。

10年前の日本海中部地震では、北海道奥尻島にも津波が到達し被害が生じていました。この時の津波は、地震発生から17分程度で到達していました。そのため、地震発生後にすばやく走って逃げた人もいた中、10年前の地震の経験を生かして、まだ津波が来るまでは猶予があると、荷物を準備したり、自動車で避難をしようとして渋滞に巻きこまれたりと、前回の経験を生かしたことで、命を落とされた方も少なからず生じてしまったのです。

被災経験は重要ですが、それが別の災害における最適解とは限らない、ということは知っておかねばなりません。

東日本大震災

  • 2011年3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震が発生。
  • 地震発生から3分後には、津波警報・大津波警報が発令。過去からの改善による成果です。
  • 津波の到達時間は、地震発生からおおむね30分以降に、震央から近い地域に順次到達し始め、その後数分程度で最大級の波の高さに達しています。

一方、近い将来の発生が想定されている南海トラフ地震では、地震発生から3分程度で津波が到達し始める恐れがあります。東日本大震災による津波経験を元にすると、避難が遅れる可能性があるということに注意が必要です。

また、首都圏における帰宅困難者の徒歩帰宅体験も、首都直下地震などが生じた場合には、徒歩帰宅を誘発して死者を増やす恐れがあるなど、経験や体験談は、次の災害に当てはまるとは限らないと、考えなくてはなりません。

  • 「最悪のシナリオ」は常に更新されると知る
  • 自分の今の環境(自宅、職場、移動中)において、その教訓が当てはまるか検証する
  • 特定の災害(例:津波)の対策を、別の災害(例:火災や建物倒壊)に安易に流用しない

と言った意識も重要ですね。

本日も、ご安全に!

本日は「震災の経験」のお話でした。

それでは皆さま、引き続き、ご安全に!

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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