カセットガスボンベの使用期限・消費期限
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執筆者:高荷智也
カセットガスボンベの有効期限は7年程度が目安です。中身のガスではなくボンベに使用されているゴムパッキンの寿命と同じです。 ガスそのものは変質しないため消費期限はなく、ボンベ自体も錆びない限りは大丈夫ですがゴム部品が劣化するので注意が必要です。
カセットガスボンベの使用期限
カセットガスボンベの使用期限は、中身であるガスの寿命ではなく、最も劣化する速度が速い「ゴムパッキン」の寿命で定まります。ゴムパッキンは外から見ることができないため、どの程度の劣化が起こっているかは分かりませんが、メーカーによればおおむね7年程度が安全に使用できる期間であるとされています。
カセットガスボンベには、ブタン・イソブタン・プロパンなどの混合ガスが詰められており、これらのガスを液化石油ガス、通称LPガス・LPG(liquefied petroleum gas)と呼びます。LPガスは、数十年程度では変質したり劣化したり、また腐ったりすることもありません。そのため、中身のガスそのものについては、定められた消費期限や有効期間というものが設定されていません。
また、入れ物であるガスボンベは鉄製品ですので、保管状態が悪ければ次第に錆びていきます。また、屋外に設置するいわゆるプロパンガスボンベと異なり、それほど頑丈に作られているわけではありませんから、缶をぶつける、足で踏みつける、手で握るなど、外側から力を加えると、それほど強い力でなくともへこんだり、変形したりしてしまいます。
もちろん、ガスボンベを保存する環境によってパッキンを含む各パーツの劣化具合は変わりますから、より早くダメになる場合もあれば、長持ちするケースもあります。目安としては、購入からおおむね7年以内で、外見にサビや異常がなく、缶を振った際に「チャプチャプ」「サラサラ」と、液体が入っている音が聞こえ、異臭や異音がしなければ、そのカセットガスボンベは問題無く利用することができます。
一方、購入からおおよそ8年以上が経過していたり、サビが生じていたり、あるいは変形していたりする場合は、使用時に注意が必要です。すぐに使えなくなるということはありませんが、利用時に異臭や異音などの異常を燃焼時に感じたら、すぐに火を消して状態を確認しましょう。
古いカセットガスボンベは使えるか
写真は、購入から7年ほどが経過したカセットガスボンベです。
このカセットガスボンベは一般家庭の台所で、特別な保管方法ではなく「普通に」保存されていたため、缶の上部や側面のつなぎ目など、塗装されていない箇所が錆びています。しかし、さびが浮いているのは表面だけで、変形やへこみもなく、強度は損なわれていません。また中身のLPガスそのものに問題はありませんので、このカセットガスボンベの利用に問題はないはずです。
実際、缶を降ると「チャプチャプ」とLPガスの音が聞こえ、ガスのにおいもしませんので漏れている様子もありません。缶を手で軽く叩いても異常を感じられませんので、カセットガスストーブに使用をしてみたところ、最後までトラブルなく、中身のガスが空になるまで問題なく使用することができました(錆びたガスボンベの利用を促進する物ではなく、あくまで自己責任ですが)。
1998年(平成10年)より古いカセットガスボンベは、互換性に注意
ただし、カセットガスボンベの製造が1998年(平成10年)以前である場合には、パッキンの劣化とは関係なく注意が必要です。カセットガスボンベや卓上カセットコンロなどのカセットガス器具は、1998年に改訂されたJIS(日本工業規格)により、メーカー間の互換性が確保されるようになりました。逆に言えば、これよりも古いガスボンベは、ガス器具とメーカーが異なる場合、安全な使用ができない恐れがあります。
1998年よりも後に作られたカセットガスボンベであれば、ガスボンベ自体が劣化していない限り、ガスボンベとガス器具の製造メーカーが異なっていても使用することができますが、1998年よりも古いガスボンベの場合は、ガスボンベに問題がなくとも、ガス器具との接続がうまくいかないなどの問題が生じる可能性があるため、異なるメーカーでの利用は避けた方が安全です。