カセットガスボンベの保管方法・場所の注意
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執筆者:高荷智也
カセットガスボンベを保管するのに適した場所は?
カセットガスボンベを保管する条件は、ガスボンベを保存する期間によって2つに分けられます。数日程度の保管においては、とにかく高温を避けることが重要で、数ヶ月~数年の保管においては、高温も避けつつ、金属缶、ガスボンベがさびたり腐食したりしないようにすることが重要になります。
カセットガスボンベを数日間保管する場合
なにかに使用する目的で、カセットガスボンベを数日間保管する場合、たとえばキャンプやアウトドアなどにガスボンベを用いるために、自動車などで持ち運ぶ場合、どのようなことに注意して保存をすれば良いでしょうか。
ガスボンベの注意書きには、おおよそどのメーカーの商品であっても「40度以上になる車内などに置かない」「直射日光に当たる場所に置かない」などの標記があります。これは、ガスボンベの温度が高くなりすぎると、ボンベが爆発する恐れがあるためです。
ガスボンベに詰められているLPガス(ブタン・イソブタン・プロパン)は、温度が高くなるにしたがって、蒸気圧が高くなり、ガスボンベの内部から外側へ向かって強い力が働くことになります。
例えば最も安価な「ブタン100%のノーマルガス」の場合、沸点であるマイナス0.5度では、大気圧と同じ1,013[hPa](ヘクトパスカル)になりますから、ボンベの内側から外側への力は働きません。ところが、温度が10度では大気圧の1.5倍となる約1,500[hPa]に、20度では大気圧の2倍となる2,600[hPa]に、そして40度では3,800[hPa]と、大気圧の4倍近い力がガスボンベの内側から外側にかかることになります。
自動車でカセットガスボンベを保存する場合
カセットガスボンベ内部の圧力は、気温が高くなるにしたがって急激に高まります。真夏の自動車車内の温度は50度を超える場合があり、さらに直射日光にさらされたダッシュボードは、80度近くまで温度が上昇することがあります。50度でガスボンベが爆発することは考えづらいですが、80度の環境に長くさらされた場合は、爆発やガス漏れの危険が高まります。
夏の車内でガスボンベを保管する場合は、まず直射日光が当たらない場所にしまうか、日差しを遮るようにします。直射日光を遮れば、カセットガスボンベが爆発する危険は少ないですが、可能であれば、発泡スチロールの箱やクーラーボックスに入れるなどして、温度が上がりすぎないようにすると安全です。この場合冷却剤を使う必要はありません。直射日光を受けて温度が上がりすぎないようにすれば十分です。
特に、「ハイパワー」「プレミアム」「寒冷地仕様」など、「イソブタン」や「プロパン」の比率が高いガスボンベは、「ブタン100%」の「ノーマル」ガスボンベよりも圧力が高くなりますので、夏場には使わないようにしましょう。夏場は、「ノーマル」ガスでも十分に火力を得ることができますから、使用できるガスの中でもっとも安い商品を選べば用に足ります。
カセットガスボンベを自宅などで長期保存する場合
ガスボンベを自宅などで保管する場合は、缶がさびたり、腐食したり、へこんだりしないようにすることを重視します。カセットガスボンベの中身である液化石油ガス(ブタン・イソブタン・プロパン)は、10年や20年の年月がたっても変質したり劣化したりしないため、ガスボンベが劣化しない限りは、何十年か経過したカセットガスボンベであっても使用することができるからです(器具と互換性がある場合に限る)。
ただし、ガスボンベに使用されているゴム部品が劣化するため、ボンベの使用期限は全メーカー共通で「7年」となっています。ボンベにサビやへこみがなくとも、7年を超過したボンベは使用しないでください。(もちろん7年を過ぎた瞬間に爆発する訳ではないため、あくまでも目安ですが。)
缶を段ボール箱や何かしらの入れ物に入れ、外部からの衝撃で変形しないようにした上で、さびを防止するため、湿気ができるだけ少ない場所で保管するようにします。屋外の物置などは、夏場かなりの高温になる上、多湿状態になりますのでガスボンベの保管には適していません。同様に、台所や洗面所などの水回りも避けるべきです。
またリビングや寝室など、冷暖房をよく使う部屋は、温度の変化で缶が結露する可能性があるため、可能であれば避けるべきです。湿気が少なく、温度変化が小さな場所、納戸、荷物部屋、クローゼット、台所の床下収納などは、ガスボンベの保管に適しています。
とはいえ、多少さびた程度ですぐガスボンベが使えなくなる訳ではありませんので、せいぜい数年程度の保管であれば、使用頻度の高い台所、流し台周辺はさけて、食器棚やカウンターの戸棚の中などに入れておくのが実用的であるといえます。