カセットガスボンベあれこれ
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執筆者:高荷智也
カセットガスボンベの中身(ブタン・イソブタン・プロパン)に関する特性・性質など、ガス自体に関する事柄についてご紹介いたします。
カセットガスの中身の特性
ガスは本来無臭
純粋なブタン・イソブタン・プロパンは無色無臭です。しかしそれでは万が一ガス漏れを起こした際に気づけなくなってしまいます。そのためJIS規格によって、ガス漏れを発見できる様にあえて臭いをつけることが義務づけられています。あの独特なガス臭は、後でつけられたものなのです。
ガスは無毒だが窒息に注意
ブタン・イソブタン・プロパン自体に毒性はなく、そのため漏れたガスを吸っても人体に悪い影響をもたらすことはありません。しかしガスを吸って空気が吸えなくなると窒息の恐れがありますので、部屋の中にガスが充満してしまった際には爆発以外に酸欠の心配もしなくてはなりません。
ガスが気化すると体積は250倍
液体のガスが気体になると、その体積は約250倍になります。狭い空間に誤って液体状のガスを大量にこぼすと、液体ガスが一気に気体となり部屋の空気を外へ追いやってしまいます。窒息する恐れがあるため注意が必要です。
ガスの気化には熱が必要
あらゆる物質は、液体から気体となる際に熱を吸収します(気化熱)。カセットコンロでガスボンベを使用する際にも同様の作用が起こるため、使用するほどにボンベは冷たくなっていきます。寒い部屋では、ボンベに霜がつく場合もあるほどです。
そのためカセットコンロには、燃焼した熱でボンベを暖める仕組みがついており、そのためガスが沸点以下にならず、ガスを最後まで使い切ることが可能となっています。この機能がついていないガス機器を寒冷地で使用する際には、定期的にボンベを暖めてやらなければ途中で気化できなくなり、燃焼が止まってしまいます。
気体のガスは空気より重く、液体のガスは水より軽い
気体の状態のガスは、空気よりも1.5~2倍程度の重さがあります。ガス漏れが起こるとガスは足下に貯まっていきますので、万が一ガス漏れを起こした場合の換気は、できるだけ低い位置で行う必要があります。
一方液体状態のガスは比重が水より軽いため、考えづらいですが液体状のガスが水中に漏れ出した場合、ガスは水面に浮いてきます。タンカー事故で石油が漏れた際、海面が汚染される状況に似ています。
液体のガスは、熱膨張率が大きい
水や金属をはじめ、物質の多くは熱を加えると体積が膨張します。液体のガスも例外ではなく、特にその膨張率は水に比べると非常に大きなものとなります。例えば温度15度のブタンとプロパンの体積を100とした場合、それを60度まで加熱するとブタンは110、プロパンは118と、かなり膨張します。
カセットガスボンベの容器にガスを充填する際、若干の空間を残す様に定められていますが、これは横にした際にノズルが液面上に出て気体を取り出せる様にするためでなく、熱膨張により容器が破裂することを防ぐ意味合いもあります。