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新型肺炎の被害を避けるため、個人でできるコロナウイルス対策

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

新型コロナウイルスによる新型肺炎、私たち個人がこの災厄から逃れるにはどうすればよいのでしょうか。それは、「流行が収まるまで感染しない」のひと言につきます。

※2020年・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況は日ごとに変化しています。当記事は執筆時の状況を元に作成したものですので、さらなる最新情報が出ている場合はそちらを優先してください。

当サイトの「新型肺炎・COVID-19」特集ページはこちらです。

感染症の致死率(死亡者数÷感染者数)を確認する

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を「どの程度」がっちり行うべきか、それを定めるための基準は「致死率」や「重症化率」です。

 致死率は「死亡者数÷感染者数」の値ですが、これが2009年の新型インフルエンザウイルス並の「コンマ数%」と低いのであれば、感染したとしても「大変だった」で済みます。

 ところが「致死率数%」のウイルスともなれば、試しに感染してみることもできません、なにしろ感染すれば100人に数人は死ぬのです。死ななかったとしても、重症になりやすかったり、後遺症が残ったり、という感染症であれば、やはり厳重な対策が必要になります。

 まずは「致死率→感染すると死ぬのか?」「重症化率→死ななかったとしても、入院が必要になるのか、また後遺症が残るのか」を確認し、どの程度恐れるべきかを判断してください。

致死率に関する一般的な推移

 一般的に、新感染症の流行初期は致死率が高めになり、次第に致死率は低下します。これは、ウイルスの毒性が弱くなるためではありません。(そういうこともあるかもしれませんが。)

 流行初期はまだ検査態勢が整っていないため、致死率の母数となる感染者数が、実態より少なく報告されるため、致死率は高めになります。しかし、簡易検査キットの普及などに伴い、感染者数の母数が「集計上」増加し、結果致死率は低下します。

 新型肺炎・COVID-19の致死率は、最新(記事更新時:2020/02/24 12:04)の計算値(世界の死亡者÷感染者)、およびWHOの発表した値によると、「2%」となっています。

致死率「2%」が高いか低いかは、今後の流行状況で定まる

 この値は、同じコロナウイルス感染症である、2002年のSARSの致死率9.6%、2012年のMARSの致死率35%と比べれば低い値です、WHOもそう言っています。

 この大流行が、中国国内(武漢)のみで終息し、日本をはじめ海外の流行がそれほど大きな規模にならなければ、確かに「低い」致死率だったと総括されるでしょう。

 しかし、流行が終息せず、世界中で大流行を引き起こすパンデミック状態となるか、あるいは日本国内だけでも大規模な流行を引き起こせば、致死率2%とはいえ、感染者の母数が数万、数十万、数百万と増えるに従って、死者数の絶対値も大きな値となります。

 全世界で2~5千万人が死亡したと推定される近代最悪のパンデミック、1918年の「スペインかぜ」の致死率は2%でした。国内でも40万人近くが死亡したと推定されています。

 新形肺炎・COVID-19が大流行を引き起こした場合、致死率2%という数字は極めて高い値になります。特に自身が持病を持っていたり、高齢者や基礎疾患を持っている家族がいる場合は重大な問題となります。

 そして、新形肺炎・COVID-19に有効なワクチン、あるいは特効薬の類いは「まだ」開発されていません。一方、国内での「人人感染」は増加を続け、二次感染・三次感染も発生しています。となれば、個人による感染防止対策が重要になります。

※流行シナリオについてはこちらのページもご覧ください『新型コロナウイルス3つの流行シナリオと注意すべき情報』

最新の感染者数・死亡者数を確認するには

以下のサイトを確認すると、最新の数字が得られます。

「米ジョンズ・ホプキンス大学:COVID-19マップ」

「日本経済新聞:コロナウイルス感染・世界マップ」

最良の手段は引きこもって他人との接触を避けること

 最も効果がある感染防止対策は、「引きこもること」「外出しないこと」につきます。国内での人人感染が、二次感染・三次感染を生じさせている現状、「他人」と「密閉空間」での「接触を避ける」ことが何よりも有効な感染防止対策です。

  • できるだけ外出しない
  • 外出する場合でも混雑する時間を割ける
  • 人混みや密室を避けるか、最短時間にする

とにかく、これらを実践するのみです。

 年金生活をしている方、職業が自宅警備員の方、フリーランスの方(私はこれです)などは実践しやすいと思われます。うっかり外食をしに行ったり、喫茶店でノマドワークをしたり、友人とカラオケに行ったり、映画を見に行ったり、ショッピングセンターに出かけたりしないようにしましょう。買物は人が少ない時間帯に手早くすませる様にして、不要な外出を極力減らしていくのがポイントです。

 …とはいえ、通勤・通学・買物をしないわけにはいきません。混雑しない時間を選べと言われても、おいそれと実行することも困難です。職場や学校が閉鎖されていない現状において、完全に外出をなくすことはまだできません。本当は死なないために引きこもるべきなのですが、感染が終息した後の生活を維持するため、そこまでの行動に踏み切ることができないというのが現実と思われます。この場合はどうすればよいでしょうか。

感染する方法を知り、そのルートを潰すことが重要

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は飛沫感染と接触感染する

 流行中のコロナウイルスは、飛沫(ひまつ)感染もしくは接触感染が主要な感染ルートになります。「飛沫感染」は、感染者の咳やくしゃみでまき散らされた「飛沫」を、別の人が直接吸い込むことで生じます。「接触感染」は、感染者が自分の咳やくしゃみを手で押さえ、その手で周囲にモノに触れて触れ、その手で自分の目や鼻や口などの粘膜を触ることで感染するルートです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)飛沫感染と接触感染防止対策

つまり、「①感染者がウイルスをまき散らさない」「②まき散らされたウイルスを除去する」「③手指を消毒し、不用意に自分の目や鼻や口を触らない」という対策を講じれば、感染リスクを低下させることができます。いわゆる「セキエチケット」や「手洗いの徹底」は、これらに有効であるため推奨されることになります。

 致死率が低いということが明らかになれば、そこまで厳重な対策を取る必要はありません。しかし、致死率が高い場合、あるいはまだ判断ができない場合は、これらの感染防止対策を実施するとよいでしょう。

マスクは感染防止ではなく拡散防止のために「つけさせる」

「飛沫感染」と、「飛沫核=空気感染」

 「空中をふよふよ漂うウイルス達」には2つの形状があります。まずは「飛沫(ひまつ)」、咳やくしゃみとともに口から飛び出す、ウイルス入りの水分を含む微粒子、厳密には「水分を含んだ直径5マイクロメートル以上の粒子」です。この粒子を吸い込んで感染するのが「飛沫感染」です。

 ウイルス達のもうひとつの形状は、この飛沫が乾燥して小さくなるなどして生じる「飛沫核(ひまつかく)」です。大きさは5マイクロメートル以下で、空気中を何メートルも移動することができます。この飛沫核による感染がいわゆる「空気感染」です。

マスクで防ぐことができるのは「飛沫」、ただし正面防御のみ

 さて、ドラッグストアなどで売っている「普通のマスク」は、目の細かさが5マイクロメートル程度です。大きさが5マイクロメートルより大きい「飛沫」を、フィルターを通じて受けるのであれば、ある程度防御することが可能です。しかしマスクの目よりも小さな飛沫(厳密には飛沫核)をブロックすることはできませんし、マスクと顔の間には隙間が空いていますので、ここから飛沫が入り込んでくれば意味がありません。

 またウイルスは目や鼻だけでなく眼球などの粘膜からも侵入しますので、「お医者さんがつけている全身防護服+ゴーグル+隙間を完全に塞げる高性能マスク」をつけなければ、完全な感染防止はできないのです。

飛沫をばらまかないために、感染者にマスクを付けさせる

 一方、感染者の咳やくしゃみを防ぐことができれば、飛沫の拡散をあるていど防止することができますので、”普通の”スクは「感染しない」ための効果は限定的ですが、「感染をさせない」ために装着させる意味は大きいのです。

 手洗いなどを徹底しても、「その辺」に付着したウイルスを触ってしまっては意味がなく、その辺のウイルスを減らすためには、感染者のせきやくしゃみを防止しなければなりません。誰が感染者か分からない場合は、空間にいる「全員」がマスクを付けることで、拡散防止効果が得られます。

 マスクが品薄で手に入らなくても、悲観しないようにしましょう。一方、職場や学校、全員がマスクを着用すれば、全体で見た感染率を下げることができますので、他人にマスクをプレゼントするのは有効です。

「飛沫核感染」「空気感染」のニュースに注意する!

 また現在の所、新型コロナウイルスの感染は「飛沫」感染に限られているようです。しかし、今後これが変化して、「飛沫核」による空気感染が生じるようになると、感染者は爆発的に増加します。

 なにしろマスクのフィルターより飛沫核の方が小さいのですから、してもしなくても同じという状態になるためです。ニュースや報道で「飛沫核感染・空気感染」の言葉が出はじめたら、本気で外出を避けるようにしてください(その時点で手遅れになりつつあるのですが…)。

 なお「エアロゾル感染」は空気感染とは別ものです。基本的には医療空間などの特殊な場所でしか生じませんので、厳密に「空気感染」という言葉が出ない限りは、あまり神経質になりすぎない方がよいでしょう。

「適切な手洗い」は効果有り、しかし「うがい」は効果無し

手洗いを徹底し、口・鼻・目を触らないようにする

 新型コロナウイルス、もうひとつの感染方法は手指を通じた「接触感染」です。感染者の飛沫が、ドアノブ、スイッチ、ボタン、手すりなどを経由して手に付着し、口・鼻・目を触った際に感染、といった具合です。

 そのため、まずは自分の手で、自分の顔を触らないようにすることが重要です。いくら手洗いを徹底しても、「手洗い完了→ドアノブに触れる→ウイルス付着!」となれば意味がないためです。顔を触らないようにするための補助として、マスクを付けることは有効です。

 また、コロナウイルスの無効化にはアルコール・次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素酸水などが有効と考えられています。人体用には消毒用エタノールなどを。モノ用には次亜塩素酸ナトリウムの希釈水などを用いて消毒をすることも効果があります。

 なお、ドアノブ、スイッチ、ボタン、手すり、複合機やPC周りなどの「モノ」に対する消毒に次亜塩素酸ナトリウム(濃度100ppm:0.1%)を用いる際には、スプレーなどにいれて空間散布をするのはNGです。布などに含ませて拭くようにしてください。次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素酸水についてはこちらでもまとめています→「衛生管理(殺菌消毒・除菌消臭)グッズ

うがいがコロナウイルスに効く科学的根拠はない

 風邪防止にはウガイ…と昔からよく言われますが、実はうがいによる感染防止効果にはエビデンス(科学的根拠)がなく、厚生労働省や政府の「新型コロナウイルス感染予防」の方法にも、紹介されていません。「新型コロナウイルス感染症ヤバイよ!」という家庭内啓蒙活動には効果がありますので、そうした意味で設置することは有効です。

食事・睡眠は有効

 新型コロナウイルスに対して有効なワクチンがまだ存在しない現状、ウイルスを体内でブロックする手段は体内の「免疫」に頼るしかありません。ウイルスを攻撃するキラーT細胞の働き、また体内で生成する抗体による働きで、ウイルスと戦うことになるわけです。

 これら免疫細胞が強力に働くためには、なによりも十分な睡眠・栄養バランスの取れた食事が不可欠です。外出を控えて、家の中でゆっくりする、というのが有効な対策と言えます。なお、ウイルスにアルコール消毒が有効だからと言って、体内に入れることは無意味です。飲み過ぎにはご注意を…。

 体内免疫について、引きこもりながら楽しく学びたい場合は、清水茜先生の「はたらく細胞」がおすすめです。アニメ版も分かりやすくて面白いので、AmazonPrimeやU-NEXTなどで引きこもりつつ見るのがよいでしょう。キラーT細胞って強いんだな…とよく理解できます。

 また、新型ウイルスって感染症なの?そもそも感染症ってなんなの?細菌とウイルスってなにがちがうの?などなど基本的なことを学びたい場合は、「絵でわかる感染症」がおすすめです。といっても大部分は文字なので、イイ感じの挿絵が超多い読みやすい教科書だと思うと適切ですね。

まとめます

外出しなくてもよい方

  • できるだけ自宅に引きこもり、他人と接触するのを避ける。
  • 買物は、人の少ない時間帯に、手早くまとめ買いをして、回数と滞在時間を減らすようにする。
  • 飲食店や娯楽施設の利用、電車やバスへの乗車をできるだけ控える。
  • 美味しい物を食べて、室内で楽しいことをして、たくさん寝て体力をつける。

仕事や学校で外出が必要な方

  • 勤務形態的に可能であれば、「在宅ワーク」「時差出勤」「直行直帰」で出勤を減らす。
  • 難しい場合は、せめてマスク着用・休憩のたびに手洗い、できるだけ口・鼻・目を触らない。
  • みんなにマスクをお裾分けして飛沫の感染を減らし、可能な範囲で距離を取る。
  • 加湿器があれば全力運転(ウイルスは乾燥が大好き☆)
  • こまめに換気をしてウイルスを屋外へ排出!
  • 早く家を出て混雑した電車を避ける、可能なら徒歩・自転車・自動車通勤にする。

情報収集

  • 日本国内の致死率(死亡者÷感染者)を要確認、「数%」以上の値が維持される場合は要警戒
  • 日本国内の流行状況を確認、厚生労働省などから正しい感染者数が発表されなくなった場合は、コントロール不可な状態であるため要警戒

※2020年・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況は日ごとに変化しています。当記事は執筆時の状況を元に作成したものですので、さらなる最新情報が出ている場合はそちらを優先してください。

当サイトの「新型肺炎・COVID-19」特集ページはこちらです。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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