水道管の凍結対策(温暖地域・寒冷地域別の詳細)
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執筆者:高荷智也
気温がマイナス4度以下になると水道管が凍結する恐れがありますが、普段温暖な地域と寒冷な地域では取るべき対応が異なります。温暖な地域であれば水の「チョロ出し」で夜をしのぎ、寒い地域であれば止水栓による水抜きを行うなど、個別の対応が必要です。
水道管凍結に関する最新の対策については、「YouTubeそなえるTV」のこちらの動画をご覧くださいませ。
水道管が凍結するとどうなるのか
水道管(厳密には中の水道水)が凍結すると、次のような影響が生じます。
水が出なくなる
水道管が凍ると、そこで水が止まってしまうため、凍った部分が解凍されるまで水やお湯が使えなくなります。屋外の水道管など単体で独立している場所であれば良いですが、台所・トイレ・風呂につながる場所が凍結をすると生活に支障をきたすことになります。
水道管が破裂する
また水は、凍ると体積が膨張します。密封された水道管の中で水が凍ると水の体積が膨張して、圧力に耐えられなくなると水道管が破裂(割れる・折れる・割ける)して、そこから水があふれ出してしまいます。修理が終わるまで水の元栓をしめなければならないため生活が不便になり、また高額な修理代や、集合住宅の場合で階下まで水をあふれさせてしまった場合は賠償などが発生することもあり得ます。
水道管の凍結対策(結論)
ではどうすれば水道管の凍結を防ぐことができるでしょうか。普段温暖な地域に寒波がやってきた場合と、日常的に氷点下になる地域では、そもそも凍結対策の意味合いや内容が異なりますので、この2つに分けて説明します。
温暖(最高気温が氷点下にならない)な地域の凍結対策
- 翌日の最低気温が「マイナス4度」以下と天気予報で発表されたら、凍結対策開始。
- 屋外に露出している水道管に、タオルやプチプチなどを巻き付けて保温する。この時隙間があると効果がないので、タオルの上からビニールテープなどを巻き付けてしっかり固定してください。また自宅の敷地内に埋められているメーターボックスも、地上に露出しており凍結しやすいため、なかにタオルや新聞紙などを詰め込んで保温するといった対策が必要になります。
- 夜寝るときには、台所や風呂場などの蛇口を開けっぱなしにして、少しだけ水を出し続ける。水道管の中を水が動いている場合は、なかなか凍りつくことはありません。大量に出し続ける必要はなく、チョロチョロでOKです。500mlのペットボトルを1分かけて満タンにする程度の水量で十分ですが、この水量だと一晩で風呂桶1杯分くらいになります。この時の水道料金は、私が住む静岡県三島市の場合25円程度です。はい、この金額で凍結はほぼ防げますので、ここはケチらずに(環境?水道管が凍結して破裂したら、もっと多くの水が無駄になるからここはOK)行きましょう。
- 水道管の凍結対策としては、よく水抜きが紹介されています。が、水抜きは、専用の水抜き栓が付いていなければ大変&完璧にはできないため、水抜き栓のない温暖な地域の場合は、基本的に「水のチョロ出し」がベターな対応といえます。マイナス10度・20度まで下がる場合はチョロだしでもどうにもなりませんが、普段温暖な地域の場合、寒波といってもそこまで気温が下がることはありません。そこまで寒くなる地域であれば、最初から水道に水抜き栓が付いていますので、それを使って水を抜きましょう。
寒冷(最高気温が氷点下になる)な地域の凍結対策
- 最低気温が「マイナス4度」以下、あるいは「水道管凍結指数」が高まる季節になったら、凍結対策開始。
- 露出している水道管があるならば、凍結対策。
※よほど古い住宅でない限り、いまどき何の対策も取っていないということはありませんので、これはお約束ですね。 - 寝る前には水抜き栓で水抜きを。
※これも新しい住宅であれば、そもそも住宅内の水道が凍らないように対策されていますので、全ての建物で必要という訳ではありませんね。 - 長期不在にするのであれば、トイレなども水抜き・不凍液の投入を。
※同上です。
水道管が凍る理由と条件
どれだけ気温が下がっても、地下に埋設された水道の本管が凍結することはありません。地下はある程度の深さになると温度が一定になり、氷点下まで下がらなくなるからです。地下の水道管が凍るような事態になったら、それは地球の危機ですから、もうどうしようもありません……。水道管の凍結は、地下から地上に出た、自宅の中で生じる現象なのです。
「マイナス4度」になった瞬間に水道管が凍るわけではない
水道管が凍結する目安としては、「気温マイナス4度」がよくあげられています。が、気温がマイナス4度になった瞬間、家の中のあらゆる水道管が無条件で凍り始めるこということはありません。また気温がマイナス4度になったとたん、瞬間的に家中の水道管が「シャキーン!」と凍るということもあり得ません。
気温マイナス4度というのは目安であり、水道管の場所や条件に応じて、より暖かくても凍ったり、より寒くても凍らなかったりするのです。夜間早朝の最低気温がマイナス4度以下でも、日中の気温が氷点下を上回る場合は凍結する可能性は低い訳です。凍りやすい環境としてよく上げられるのは、
- 屋外にむき出しになっている水道管
- かつ風当たりが強い場所の水道管
- また北向きの日陰にある水道管
このような条件を満たす水道管は、気温がマイナス4度にならなくても、氷点下になれば中の水が凍り始める可能性がありますので注意が必要です。例えば、家の北側にあるガス給湯器へつながる地面から立ち上がっている水道管や、洗車や散水用の水道管などがありがちでしょうか。北国であればあらかじめ対策されていることがほとんどですが、普段温暖な地域でむき出しの水道管がある場合は、急な寒波の到来時に凍結対策が必要になります。
流れている水は凍りづらい
また水は、動いていると凍りづらいという性質があります。(氷点下になっても川の水がすぐに凍ることはないですよね。もちろん超低温が長期間続くと川や湖も凍ってしまいますが。ロシアとかですかね。)ですから、前述の通りマイナス4度を下回る場合でも水をチョロチョロと流し続ければ、凍結を防ぐことができるのです。
水道管が凍結してしまった場合の対処法
対策を講じたにもかかわらず(無論、無対策で無様にも凍ってしまった場合であっても)水道管が凍結してしまったら、凍っている部分をとかすことができれば解決です。凍結してさらに破裂をしてしまった場合は、早く修理業者を呼ぶしかありません。
凍結しただけであれば、ぬるま湯や温風でとかせばよい
- ドライヤーで温風をあてる
凍結している箇所にドライヤーなどで温風を当て続けることで、解凍を促進することができます。凍結している箇所が分かっているのであれば手軽で便利です。ただ少し時間がかかりますので、完全にとけるまでじっくり取り組んでください。 - ぬるま湯をかける
凍結した箇所が屋外だったり、また水が使える場所だったりする場合は、タオルや布を巻いて、その上からゆっくりとぬるま湯(熱湯をかけると温度変化で破裂することがあるのでNG)をかけます。タオルを巻くのは、ぬるま湯の高温をゆっくり伝えるためです。 - 凍結箇所が特定できないならば、部屋の温度を上げて待つ
どこが凍結しているのか分からない場合は、もう部屋を暖めてとけるのを待つしかありません。屋外ではなく、床下や壁の中の水道管が凍結している場合にはこうするしか方法がありません。
水道管が破裂している場合は、元栓を閉めて業者を呼ぶ
- メーターボックスの中にある止水栓をしめる
水道管が破裂した場合は、まず水を止めなければなりません。破裂した箇所よりも元栓に近い場所に栓があればそこをしめます。栓がなければ、家の水道の元栓をしめなければ水が止まりません。元栓はメーターボックスの隣に設置されています。 - 指定水道工事業者を呼ぶ
止水栓をしめて水漏れを防いだら、指定水道工事業者を呼んで対応を依頼してください。水道のメーターから住宅側は住人の持ち物ですので、修理費用などは自分で工面する必要があります。