桜島の爆発的噴火、降灰15万トンってどのくらいすごい?
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執筆者:高荷智也
はじめに
2013年8月18日、桜島が爆発的な噴火を起こしました。富士山噴火などが話題に上がる昨今ですが、この桜島の大噴火、他の噴火と比べてどのくらいの規模なのでしょうか?
桜島大噴火の規模はどの程度なのか?
2013年8月18日、桜島が爆発的な噴火をおこして大量の火山灰が鹿児島市などに降り注ぎました。噴煙の高さが約5千メートルに達し、降灰の噴出量は15万トンと推計されていますが、これはどのくらいの規模の噴火なのでしょうか?
桜島大噴火のVEI(火山爆発指数)は、VEI1
火山の爆発の大きさはよく、VEI(火山爆発指数)という区分で表されます。VEIは溶岩や火山灰などの火山噴出物の体積によって、0から8までに区分されています。VEI0の小規模な噴火は世界中でほぼ毎日生じていますが、数万~数十万年に1回しか生じないVEI8の巨大噴火が生じた場合は、人類存亡の危機となるほどの被害が生じます。
今回の桜島の噴火をVEIで示すと、VEI1の小規模噴火に区分されます。報道されている15万トンの降灰をVEIに換算すると、灰の密度は[1g/cm3]で計算されますので、体積は150,000平方メートルとなります。VEI1で区分される噴出物の量は10,000m3~1,000,000m3ですので、桜島噴火がこの区分になるのです。
桜島大噴火と過去の噴火を比較すると?
今回の噴火でも、鹿児島市では大量の降灰が発生し、交通機関に障害が起こるなどの被害が生じていますが、この規模の噴火はどのくらい「すごい」のでしょうか?国内で生じた他の噴火と比較をしてみましょう。
- 2013年…桜島大噴火 噴出物150,000m3 VEI1
- 1990年…雲仙岳噴火 噴出物250,000,000m3 VEI4
- 1914年…大正桜島噴火 噴出物2,100,000,000m3 VEI5
- 1707年…富士山宝永噴火 噴出物700,000,000m3 VEI4
- 1991年…フィリピンピナトゥボ山噴火 1,000,000,000m3 VEI6
※20世紀で最大規模の噴火。
単に噴火の規模だけで言えば、今回の桜島の噴火は小さな噴火と言えます。死者・行方不明者43名を出した火砕流の記憶が生々しい雲仙岳噴火の1660分の1、首都圏への被害が心配される富士山、仮に前回の宝永噴火と同じ規模の噴火が生じたとして4660分の1の規模となります。
なかなかピンとこない数字が並んでいますので、分かりやすく図にしてみましょう。
桜島大噴火と他の噴火を図で表すと?
今回の桜島噴火の大きさ(火山噴出物の量)を次の赤丸とします。
私たちの感覚では今回の噴火も十分大きな「大噴火」と言えますが、他の噴火の規模はどのくらいなのでしょうか。
次に1990年の雲仙岳噴火の規模を同じ赤丸で示します。これは今回の桜島噴火の1660倍の大きさとなりますので、次のようになります。
さらに1707年の富士山宝永噴火の規模を赤丸で示します。今回の桜島噴火の4660倍の大きさとなります。ざっくり想像すると、今回と同じ規模の大爆発が、100箇所同時に、1時間に1回まる2日間噴火し続けたのと同じ規模という…もうよく分からない地獄絵図のような状況が、最も最近に生じた富士山噴火の規模と言えます。
雲仙岳噴火の赤丸、富士山噴火の赤丸と比較すると、今回の桜島噴火が点に見えます。かなり小規模な噴火だったと言うことがよく分かります。最近生じた桜島の噴火で大きかったのは、1914年の大正大噴火です。これは富士山宝永噴火の3倍の規模、VEI5の巨大噴火でしたが、これを図で表すと次のようになります。
すごい大きさです。今回の報道で「桜島の地下に蓄積されているマグマ全体から見れば、今回はガス抜きにもなっておらず、今後も同規模の噴火は考えられるという。」という記述がありますが、その意味がよく分かります。
今回の噴火と比較して14,000倍の規模の噴火ですが、要は最大でこれだけの量のマグマが地下に蓄えられることになりますから、今回程度の噴火であれば、今後もまだまだ生じる可能性があるというのも頷けます。
また、1991年にフィリピンのルソン島で生じた、20世紀最大規模の大噴火を引き起こしたピナトゥボ山噴火を図に示すとどのようになるでしょうか?この噴火では大量のチリが成層圏に放出され、地表に達する太陽光をさえぎったため、地球全体で0.4度の気温低下が生じました。地球規模で影響をもたらす噴火の大きさを図で示すと、次のようになります。
ちょっと…すごい大きさです、私たち人間の活動などちっぽけなものであることがよく分かります。噴火は地上で生じる自然災害としては、最悪の破壊力を持った自然現象です。今後も噴火のニュースには関心を持ち、被害を軽減させるように行動しましょう。