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家庭防災5b:中期(数ヶ月)備蓄の準備リスト

最終更新日:

執筆者:高荷智也

数週間から半年~1年程度の籠城生活を前提にする中期備蓄では、飲料水と食料品、カセットガスボンベの備蓄が重要になります。普段から少しずつ消費できるものを中心に少しずつ量を増やしながら、最終的な目的量を備蓄できるように計画を進めましょう。

食べ物について

 数週間~半年程度の中期備蓄で最も重要なものは、食料の備蓄となります。基本的には短期備蓄の量を増やしていく方法で対応します。なお電気・ガス・水道などのライフラインが途切れている場合は、カセットコンロなどを使って調理をすることになりますが、この場合は食事の回数を1日2回として、まとめて食事を行った方が手間や燃料の節約になります。

水について

 水の備蓄量は短期備蓄と同じく、1日1人辺り3リットルを目安とします。半年分であれば540L、2Lのペットボトルたと270本分、6本入りのケースだと45箱分になります。全量を水にする必要はありませんので、飲料用にする半分の量はお茶などにすると普段から消費がしやすくなります。

食料について

 食料のラインナップは、備蓄にどの程度の費用を投じるかによって変わってきます。金に糸目はつけないということであれば、発電機と巨大な冷凍庫を用意して冷凍食品を大量に準備すれば、ほぼ日常と変わらない食生活を送ることができます。が、実際にこうした行為は難しいと思いますので、基本的には普段から消費できる消費期限の長い食べ物を多めに買い込み、消費しながら入れ替えるという方法をとることになります。

 主食類は米・玄米・パスタ・乾麺(うどん・そば)・インスタント麺・シリアルなどが中心ですが、食生活にあわせて消費しやすい物を備蓄するとよいでしょう。副食類としては、レトルト食品、缶詰、乾燥食品などが中心になります。これもできるだけ普段から食べるようにして、自分と家族の好みに合う物を探し、量を増やしていくとよいでしょう。

ビタミン剤

 1~2週間程度の短期備蓄でもビタミン剤を推奨していますが、期間が長くなる中期備蓄においてはなおさらビタミン剤の助けが必要になります。食料や飲料水の備蓄をかねた野菜ジュース、青汁、サプリメントなどが活用できますが、普段から消費しやすい物を選んで消費備蓄品として使うとよいでしょう。

嗜好品

 ビタミン剤同様、中期備蓄においても甘味、菓子類、嗜好品は用意すべきです。普段から食べている菓子類を多めにストックしておくのが簡単です。また備蓄籠城生活中の娯楽をかねて、食物繊維が豊富なポップコーンや、パンケーキなどを作る材料を用意しておいてもよいでしょう。単調になりがちな生活に変化を与えられることは重要です。

調理器具

 中期備蓄による籠城生活を開始した直後は、電気・ガス・水道などのライフラインが維持されると見込まれますが、時間がたつと使えなくなるものが出てくる可能性があります。一方備蓄食料の中には主食類を中心に加熱調理が必須な食材が多いため、カセットコンロとガスボンベの備蓄が必要になります。

 カセットガスボンベ1本の燃焼時間が60分ありますので、湯沸かしや食品の湯煎が中心であれば、4人家族でも1日辺り1本で間に合うでしょう。前述の通り、カセットガスコンロだけに頼る様な状況になった場合は、食事の回数を1日2回に減らして(1回の量を1.5食にしてもよいです)、まとめて調理をするとガスの節約になります。

食器

 水道が使えない場合は食器も使い回しになりますので、缶詰などはそのまま食べればよいですが、米や麺類など食器が必須な食事は、ウェットティッシュなどで拭き取るかラップをかぶせて使うことになります。汁物は丼などを使って拭き取るしかありませんが、皿を用いる場合はラップを使いましょう。

 なおサランラップ(旭化成)については使用期限がありませんので、50m巻きの長いタイプの商品を普段から大量にストックしておくと、様々な用途に活用できて便利です。

衛生管理・医薬品について

非常用トイレ

 1ヶ月程度の備蓄籠城生活であれば、短期備蓄の延長で非常用トイレを用いることができますが、期間が数ヶ月以上になってくると、排泄物の全量を非常用トイレで受け止めることは難しくなってきます。そのため、備蓄籠城生活が長期になることが分かってきた段階で、非常時用のトイレの使い方へ切り替える必要が出てきます。

 庭などが使える戸建て住宅の場合は、最初から屋外にトイレを設置するか、排泄物を埋めて処理できるようにするとよいでしょう。マンションや都市部の住宅の場合は、大便のみ非常用トイレで処理をして、尿に関しては定期的に排水溝へ流すなどの対応で処理をすることになります。いずれの場合もある程度の非常用トイレは必要になりますので、準備が必要です。

風呂・洗濯

 ライフラインが生きていれば問題ありませんが、水道が止まった場合風呂は原則使えず、洗濯も最小限の水を使って下着のみを洗うような生活になります。自宅の至近に河川や井戸がある場合は利用ができるかもしれませんが、同時に雨水を溜めて洗濯などに使える様にすることも考えるとよいでしょう。

医薬品

 備蓄籠城生活が長期化する場合、医療機関にかかることもできなくなりますので最低限の医薬品は常備するようにしましょう。また新型インフルエンザパンデミックに備える場合、感染を防ぐために籠城をするのですが、不幸にも感染をしてしまった場合でも治療は受けられません(逆に言えばワクチンの接種が受けられるようになるまで引きこもる必要があります)。

 そのため、対処療法用の医薬品として、体温計、氷枕・熱さまシートなどの道具、解熱剤、スポーツ飲料の粉、家庭内感染防止用のマスク、手袋、ゴーグルなどを用意しておき、家庭内で処置を施す必要があります。

情報収集・電源について

 短期備蓄生活と同様、定期的な情報収集は重要です。特に混乱が長期間にわたり、停電する状況になった場合はラジオが情報収集の主要な手段となりますので、乾電池式のラジオは必ず用意しておきましょう。パンデミックワクチンの接種状況、火山の噴火の状況、ライフラインの供給や給水の情報などを収集することが必要になります。

ラジオ

 乾電池式のラジオを予備機材込みで1台以上用意しましょう。備蓄籠城生活が長期化すると乾電池の確保も難しくなる可能性がありますので、手回し充電機能があれば安心です。また通常の災害時であれば、地域のコミュニティ放送を聞くためのFM放送、FMがやられている場合はエリアの広いAM放送がきければ十分ですが、国内全域のインフラに障害が発生する恐れのある中期備蓄が必要な災害時は、海外放送も聞ける短波が入るとなおよいでしょう。

 なお、非常持ち出し袋にいれる機材の場合、重量を抑えるために「ラジオ・ライト・サイレン・手回し発電機」などがセットになった小型のグッズが優れていますが、籠城生活をする場合重量は問題になりませんので、ある程度大きくても使いやすいもの、出力が大きいもの、構造がシンプルなものを選んだほうがよいでしょう。

乾電池・発電機

 乾電池は普段から10年保存のものを大量にストックしておくことが望ましいですが、備蓄籠城生活が長期化するとこのストックも不足する恐れがありますので、何かしらの充電手段を用意するとよいでしょう。手回し充電ができるモバイルバッテリーや、太陽光発電パネルをあわせて用意しておきましょう。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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