停電対策の基本
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執筆者:高荷智也
停電対策の基本
電気が消える以外にどのような事が起こり得るか?
・高台の住宅地やマンションなどでは局地断水
※全道停電の様な広域×長期停電の場合は、浄水場停止による広域断水もありうる
・電気を使うガス機器(Siコンロ、給湯器、ガスファンヒーターなど)の使用停止
※都市ガス・プロパンガス自体は使えるので、電気を使わないガスコンロなどはOK
・住宅用のソーラー発電システムなどの屋内給電停止
※非常用コンセントは仕様できるが、パワーコンディショナー(パワコン)が停止するため
晴れた日中であっても、屋内の通常コンセントでは、ソーラーがあっても電気が使えなくなる。
停電時に向けて備えておくべき有効な機器やグッズは?
1)電気そのものを溜めておく
・各サイズの乾電池
・モバイルバッテリー(乾電池式スマホバッテリー)
・UPS(無停電電源装置)と大型のバッテリー(医療器具などをつかっている場合)
2)発電機を準備
・ガスやガソリン型の小型発電機(特に医療器具を使っている場合など)
・モバイル型のソーラー発電機(晴れた日中のみ、スマホ給電などに有効)
・手回し式発電機(ほとんどお守りにしかならない)
3)住宅設備などの導入
・住宅用ソーラー発電システム(+蓄電池があれば夜間にも有効)
・エネファームなどの家庭用燃料電池(ガス・水道が止まるとアウト)
・プラグインハイブリット自動車+V2H機器(最強の停電対策とも言える)
4)電気の代替手段を準備
・食事の準備→カセットガスコンロ
・冷凍庫の中に日頃から保冷剤→冷蔵庫の維持
・カセットガスストーブ→冬季の暖房
・非常用トイレ→停電による断水時
・ラジオ(乾電池)→テレビやスマホが使えなくなった場合の情報収集
いざ停電、どのような行動をとるべきか?また取ってはいけない行動とは?
生命の維持
・医療器具を使っている場合は電源の確保
夜間の明かりの確保と避難の必要性の確認
・夜間の場合は手元に明かりを確保して行動できるように
・スマホやラジオで情報収集
・大地震や台風に伴う停電の場合、避難の有無を確認、必要な場合は素早く移動開始
ライフラインの確保
・寒冷地×冬季の場合は、厚着、電源のいらない暖房などで凍死を回避
・水道、トイレ、ガスなど電気以外のライフラインの状況を確認
停止した家電への手当
・冷蔵庫が停止している場合は空けない
・保冷剤などを大量に準備している場合、素早く冷蔵庫へ移動
・ドライヤー、電気ストーブ、アイロンなどの熱源家電を使っていた場合、通電火災を防ぐためにスイッチOFF
外出時は交通事故に注意
・信号機の停止、夜間の街灯の停止など、交通事故が生じやすくなるため注意
電力なしでできる生活のノウハウなど
・カセットガスコンロがあれば食事の準備は概ね問題なし
・冷凍庫は普段からパンパンに、保冷剤がなければペットボトル水でも凍らせておく
・停電時以外にも最重要となるトイレ、非常用トイレは日頃から準備
・テレビがダメならスマホ、スマホがダメならラジオで情報収集
・照明にはLED、火災の原因となるロウソクは絶対に使わない(暗くて大して役に立たない)
停電時の情報収集について
スマートフォンの消耗を抑える方法
通信頻度抑える
Bluetooth、GPS、wifiなどで使わない物はOFF、機内モードにして3GやLTEもカットすると待機時の消費を抑えられる。エコモード・省電力設定などは、ON/OFFにする項目のカスタマイズが可能なので事前にチェックするとよい。
画面照度を抑える
室内で使う場合、画面の明るさは一番くらくしておくとよい。
※暗くしすぎて読みづらくなり、利用時間伸びるようになると本末転倒なので、調整すること。
紙のメモを活用
スマホで集めた情報は紙に書き写しておくと、使用回数を減らせるので有効。
スマートフォンの充電ツールについて
防災専用アイテムは費用がかかりメンテナンスなども手間がかかるため、できるだけ日常で使えるアイテムを、非常時にも使うようにするのがよい。
モバイルバッテリー
・普段使いしているならば、モバイルバッテリーをつねに持ち歩くのが一番よい。容量も大きな物(10,000mAh以上)のものであれば、スマートフォンを1~2回フル充電できるため役立つ。
乾電池充電器
・モバイルバッテリーを普段使っていない場合、防災専用にこれを購入するのはコストとメンテナンス(たまに充電をする)を考えるとオススメできない。また普段使いしている場合も、使い切ってしまった場合の予備が欲しい。この場合は乾電池を使う充電器が有効。10年保存できる乾電池を準備すれば、非常持ち出し袋などに入れっぱなしにしておいてもよい。
・スマホの機種、充電器の機種によって能力は異なるが、例えば当方のスマホ(バッテリー3,000mAh)と、単三電池4本を使う充電器の場合、おおよそ50%の充電ができるため、満充電には8本が必要となる。
モバイル向けの発電機について
手回し式
メリット
・停電や流通のマヒが長期間続き、かつ晴天も望めない場合でも充電可能
デメリット
・出力が小さい
・ソニーの充電器付ラジオ「ICF-B99」の場合、スペック上は1秒に2回転させる速度を15分維持して、スマホを1%充電できる計算、かなりきつい。
・疲労する
・10%の充電には3時間弱の回転が必要、現実的には無理。
・騒音が出る
・静かな場所で回し続けると音が気になる場合も。避難所などでは使いづらいこともある。
ソーラー式
メリット
・晴れていれば充電可能、疲労もない
・劣化するパーツが少ないため、長期保存が可能
デメリット
・天気がわるい場合、夜間、また屋内では使えないため状況を選ぶ
・出力の大きさがパネル依存なのでこれはなんとも言えない
発電機・蓄電池の種類と特徴
ガソリン型発電機
いわゆる発電機の中では一番種類が多い。出力が大きく安定性が高く、また自動車からガソリンを抜いて補充できるメリットもある。半面、防災専用に購入するのは費用が高く(10~20万以上)、ガソリンの保存も難しいため工夫が必要。
カセットガス発電機
使い勝手はガソリン型発電機に近い。カセットガスはガソリンと比べて保管がしやすく、備蓄しやすい。一方出力がガソリン型に比べると劣ること、カセットガスの消費量が大きく、備蓄しやすいが量がすごいことになるのがデメリット。
住宅用ソーラーパネル
日常利用できるため、あれば非常時にも活躍する。ただし停電時は、パワーコンディショナーが停止するため、晴れていても家庭内の「通常のコンセント」からは電気が使えず、非常用コンセント(1500W程度)のみの利用になるのがデメリット。
PHEV自動車
トヨタのプリウスPHVや、三菱のアウトランダーPHEVが有名。ガソリン満タン状態で、一般家庭10日分程度の電力供給ができるハイパワー、「V2H」と呼ばれる機器と併用することで、「通常のコンセント」へ電力供給ができるメリットもある。
小型蓄電池
ソーラーパネルとあわせて住宅用の蓄電池を導入するのは、あれば非常に役立つ。より小型のハンディタイプは、医療機器などを使っている場合はUPS(無停電電源装置)とあわせて準備するのが必須だが、アウトドアなどで活用するのでなければコストが高いため、スマホ用バッテリーの大型サイズで十分。