水の備蓄が必要な災害
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執筆者:高荷智也
水の備蓄は、「水」そのものが汚染される事態、「水を作り・運ぶ施設」が破壊される事態、また「停電」などに備えて行います。各状況ごとに、備蓄する水の量が変わります。
水の備蓄が必要な状況とは?
水の備蓄が必要になる状況には、どのような災害が考えられるのでしょうか。水道が利用できなくなる場合には、次の様な状況が考えられます。
1)地震などで、水道設備が破壊される状況
2)停電などで、設備は無事だが給水が不能となる状況
3)原発事故などで、水源や水自体が汚染される状況
一般的に「水の備蓄」が考えられるのは、(1)の状況が中心ではないでしょうか。すなわち、地震などによって水道設備そのものが破壊され、見た目にも水が出そうにない状態です。それぞれの状況について、少し詳しく見てみましょう。
地震などで、水道設備が破壊される状況
地震、また戦争による爆撃などにより、水道設備そのものが破壊されてしまう場合、このような状況に陥ります。物理的な復旧が必要となるため、給水の再会にはある程度の時間が必要となります。
たとえば地震、1996年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)による水道被害では、1週間で4割、6週間でほぼ全ての復旧がなされるという速度でした。(1996年:神戸市水道局)
水の配給や給水車の出動に3日ほどが必要となるため、最低限必要な水を3日分用意しておくようにいわれるゆえんです。完全復旧までの期間は、バケツやタンクに水をくんで運ぶ作業が必要となります。
また給水車などによる給水は、早ければ1日以内に開始される地域もありますが、遅いところでは3日くらいになる場合もあり、そのため3日分の備蓄を、と呼びかけています。
停電などで、設備は無事だが給水が不能となる状況
地震や紛争で、送電設備が破壊された場合、浄水場や水を送るポンプ場が動かなくなり、施設自体が無事でも水が出なくなります。またマンションなど、屋上のポンプで水を引き上げている建物の場合、その建物だけが停電をすることでも、水が出なくなります。
また新型インフルエンザのパンデミックなど、外出が極端に制限をされるような状態に陥った際も、浄水場のオペレーションが出来なくなったり、それ自体はオートメーション化されており問題が無くとも、漏水の対応などが行えなくなり、給水に制限がかかる自体も考えられます。
また停電の原因としまして、火山の噴火があげられます。噴火自体で給水施設が破壊されなくとも、降灰により送電線、ガイシに灰が積もり、それが雨に濡れると導電帯となり電気が流れてショートし、結果給水が出来なくなる、という想定が存在します。
原発事故などで、水源や水自体が汚染される状況
原子力発電所のメルトダウン事故、原子力関連施設における放射能漏れ事故、また核ミサイルによる攻撃などで放射能汚染がなされたり、また化学物質やテロ行為により水源に毒物が混入された場合にも、給水が出来なくなります。
この場合、水の毒性が低下するまで時間の経過を待つしかなくなり、場合によっては長期間にわたって水道が使用できなくなることもあり得ます。想定すべき危機・災害としては最悪のものとなり、備えることが現実でないケースかもしれません。