水道がつぶれかかっている
その水道料金は適切ですか?必要な水源開発、無用なダム建設、水道の秘密を徹底解明!
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概要・あらすじ
水道事業の技術的な側面ではなく、経営的・財政的な側面から詳しくまとめられているのが本書。地方と都市部での料金格差の理由、ダム建設にかかった費用が利用者に押しつけられる仕組みなどが細かく書かれています。
重要なライフラインの1つである水道にフォーカスを当ててはいるものの、防災的な内容は一切含まれておらず、備えるという意味で役に立つ本ではありません。ただし、細かいレポート内容の割に文章はとても読みやすく、平時に読む読み物としてはおすすめです。
感想・思ったこと
「蛇口をひねれば水が出るのは当たり前」で、「湯水のように」という例えになるほどにふんだんな水資源に恵まれている日本で生活をし、実際に蛇口をひねっている一市民としては、この本の内容が興味深いものに感じられます。
当たり前の裏側に隠された事実は、よくニュースでみる「どうせ政治家のやることだから」的な部分ばかりで、あきれてしまう内容が多いですが、水道というものがあまりに生活に密着している以上、知識として知っておいて損はありません。
特に、普段家計を管理しているような方や、水道光熱費の高さに納得がいかない方には、ぜひおすすめしたい一冊といえます。
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書籍の情報
著書名…水道がつぶれかかっている
著者…保屋野 初子
出版社…築地書館
初版発行日…1998/11/01
紹介文…「BOOK」データベース
日本の水道行政のしくみと、構造的にかかえる問題点を、10年におよぶ取材で明らかにした。11兆円におよぶ借金残高をかかえ、破綻しつつある全国各地の水道事業、その膨らみつづける借金と、今後、家計を直撃する水道料金のしくみを、ていねいに解説。わかりにくい「水道破綻」問題の全体像に迫る待望のリポート。
目次
- 第1章 水道がつぶれかかっている
- どんどん上がる料金、開く格差
- つぎはぎだらけの“独立採算”
- 「水資源開発」の主役となった水道
- マクロな水の大きなツケ
- 第2章 多目的ダムと水道 ~埼玉県・大野ダムの場合~
- 「多目的ダム」の本当の目的
- 県民の水と取引
- 水利権に泣く埼玉
- 第3章 特殊法人と水道 ~長良川河口堰の場合~
- ダムが終わる時代の河口ダム
- かけ捨てられる六百億円余
- ツケは水道料金の乗せて
- 第4章 広域水道と水源開発
- 山口・小郡広域水道の悲喜劇
- 柳井広域水道計画の憂鬱
- 広域水道の死屍累々
- 広域水道を歴史的に検証すれば
- 第5章 一兆円で水3トン ~神奈川県・宮ヶ瀬ダムと水道
- ダム・テーマパークへ
- 宮ヶ瀬ダムと双子の相模大関
- 法的にやってきたダムと堰
- まぼろしの水需要予測の上に
- 値上げだけが待っている