チェルノブイリからの伝言
NGO活動10年の軌跡と21世紀への展望
人類が引き起こした史上最悪の人災から復興する現場を支続ける団体の、真実の物語を!
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概要・あらすじ
1986年4月16日に、ウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリ原子力発電所で起こった人類史上最悪の原子力災害。この災害からの復興支援に尽力する日本のNGO団体、日本チェルノブイリ連帯基金が行ってきた、10年間の活動の軌跡がまとめられているのが本書です。
団体は、チェルノブイリ原発事故の被災者に対する医療支援を中心に活動を続けていますが、本書でも医療支援を担っているスタッフのインタビューを中心にまとめがなされています。チェルノブイリの現在、復興への道のり、原子力エネルギーとの関わり方などが、リアルな言葉で綴られたルポルタージュの形式で語られています。
感想・思ったこと
これまでにも、チェルノブイリ原子力発電所事故に関する、現場視点のドキュメンタリーや、客観的に事故を俯瞰した分析、こういった内容の書籍は多くありましたが、支援側の視点で、それも最前線の現場から語られた話は多くないため、そういう意味で貴重な書籍だと思います。
原子力災害は自然界が引き起こす天災とは違い、人間の手で生み出されたいわば人災です。それだけに、数字上で死者が何名、後遺症に苦しむ方が何名、支援に使われたお金がいくら、というまとめ方はいくらでもできると思いますが、そうではなくて、実際に現地で災害に苦しむ方々と直接向き合い、人間の声を直に拾い上げていくことが重要なのではないかと思います。
チェルノブイリ原子力発電所事故の客観的なデータではなくて、事故の後、そこで何が起こり、今何がなされているのか、という事実を俯瞰したいと考える方には、ぜひおすすめをしたい一冊といえます。
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書籍の情報
著書名…チェルノブイリからの伝言
NGO活動10年の軌跡と21世紀への展望
著者…日本チェルノブイリ連帯基金
出版社…オフィス・エム
初版発行日…2000/9/20
紹介文…「BOOK」データベース
忘れてはいけないことがある。1986年4月26日チェルノブイリ原発事故。20世紀の“負の遺産”を“明日の糧”とするために私たちは子や孫に語り続ける、いのちの連帯を求めて…。
目次
- はじめに
一人の子供の涙はすべての人類の悲しみよりも重い - 1.1986年<4月26日>の原点から…
~チェルノブイリの悲しみと向き合って~ - 2.命の連鎖を求めて
~ベラルーシからのメッセージ~ - 3.響きと影 豊穣の大地とはかりあえるほどに…
- 4.インタビュー&インタビュー 私とチェルノブイリ
- 5.天国はいらない故郷を与えよ
~映画「ナージャの村」が残した物~ - 6.奪われし未来から…
~科学者が検証したチェルノブイリ事故・東海村臨界事故~ - あとがき
8000キロの彼方への思い…