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住宅火災対策1・火災防止の方法とポイント

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

建物火災の出火原因

 このグラフは、建物火災における出火元を表した積み重ね棒グラフです。原因別に5つのグループに分けて、それぞれ色分けをしています。「コンロ・ストーブ」が赤、「放火関連」がオレンジ、「タバコ」が黒、「電気関連」が青、「裸火」が緑です。

図:建物火災の原因別出火件数

グラフの出典について

以下の表から「建物(※1)」に関する出火原因のみを抜き出し、独自にグループ分けをしたうえで並び替えをしています。(※1:林野・車両・船舶・航空機・その他を除いています。)

平成29年版 消防白書 附属資料 1-1-4 出火原因別火災損害状況
平成28年版 消防白書 附属資料8 出火原因別火災損害状況
平成27年版 消防白書 附属資料8 出火原因別火災損害状況
平成26年版 消防白書 附属資料8 出火原因別火災損害状況
平成25年版 消防白書 附属資料Ⅱ− 5  出火原因別火災損害状況

建物火災の出火原因

 建物火災の出火原因をグループ分けすると、「不明」や「その他」を除けば、おおよそ5種類に分けられます。まず出火原因として最も多いのが「コンロ・ストーブ」、燃やすための器具ですから、当然出火原因にもなりやすい道理ですね。ちなみに住宅火災の場合、コンロはガス9割・電気1割、ストーブは電気ストーブと石油ストーブが半々です。

 つぎに「放火・放火の疑い」、注意してもどうにもならないかと思いきや、そんなことはありません。家の周りに燃えやすい物を置かない、死角になりやすい場所を減らすなど、防災と言うよりは防犯の延長になりますが、放火されづらい環境を自助努力で作ることはできますので、どうにもならないと諦めてしまうのは早計です。

 3番目は「たばこ」、健康にとっても出火原因としても百害あって一利なし、禁煙をすることをおすすめします。ちなみにiQOS(アイコス)などの電子タバコは、普通のタバコと比べると火災の原因にはなりづらいそうですが、それでも火災を「起こさない」訳ではないので、安心してはいけないようです(まだ明確な統計データがないので口コミから)。

 4番目は「電気配線・電気器具」、具体的には家電、延長コード、壁の中の配線などによる出火となります。延長コードを折りたたみすぎたり、たこ足をしすぎることで加熱したり、ホコリがたまりすぎてトラッキング現象(スパーク)が生じたりと、正しい使い方と適切な管理をしていれば防ぐことができるものが多いため、日々の管理が必要な原因と言えます。

 そして5番目は「裸火」、具体的には灯火(主にロウソクですね)、マッチやライター、たき火、火遊びといった、まぁ「火を付けたら火災になった」という分かりやすい要因になります。基本的に自分の意思で、かつ自分の目の前で火を付ける行為なわけですから、これはもう「注意しろ」と言うほかありませんね。火で遊ばない、火を付けるときは燃える物を周りに置かない、そして消火道具を近くに置いておく、という当たり前の対策で防ぐことができる火災です。

コンロ火災を防ぐためのポイント

自宅のコンロを、IHヒーターかSIセンサーコンロにする

 このグラフは、2012~16年の5年間に死者がでた住宅火災で火元が「コンロ」であった場合の、コンロ種別を表したものです。そのほとんどがガスコンロであることが分かります。ということは、100%安全になるわけではありませんが、自宅のコンロがいわゆる「普通のガスコンロ」である場合、これを「IHクッキングヒーター」や「SIセンサーガスコンロ」に変えてしまえば、コンロ火災の可能性をずいぶん減らすことができるようになります。

図:こんろが原因で死者が生じた火災のコンロ種別

グラフの出典について

以下の表から「こんろの内訳」のみを抜き出し、独自にグラフにしています。

平成29年版 消防白書 第 1-1-11 図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成28年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成27年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成26年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成25年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)

調理中にコンロから目を離さない

 消防白書によれば、コンロから出火した場合の経過として最も多いのが、「放置する・忘れる」で、コンロ火災の原因の半分を占めています。IHやSIコンロにすれば、この放置した場合の火災を防止してくれる訳ですが、それでも条件が悪ければ100%出火を防げるわけではありません。やはり基本ですが、火から目を離さないことが重要です。

防炎エプロン・防炎アームカバーを着用する

 特に高齢者の場合、調理中にコンロの火が袖口に着火して、着衣着火で死亡するケースが多く発生します。この場合、防炎・防火エプロンを着用したり、また少々面倒ではありますが、防炎・防火アームカーバーを腕に着用したりすることで、袖口などからの着衣着火を防止することができます。

大地震のときはコンロから離れる

 なおコンロで調理中に大地震が生じた場合は、火を消すことよりもその場から離れて安全を確保することを優先してください。おおよそ震度5弱以上の強さの揺れに悪阻されると、ガスコンロの場合はマイコンメーター(ガスメーターです)がガスを遮断し、IHクッキングヒーターの場合はコンロ自身が加熱を停止させます。無理矢理火を止めようとして火傷などを負う方が危険ですので、まずは火元から離れましょう。

ストーブ火災を防ぐためのポイント

ストーブは電気でも石油でも火災の原因になる

 このグラフは、2012~16年の5年間に死者がでた住宅火災で火元が「ストーブ」であった場合の種別を表したものです。出火原因としては石油ストーブのイメージがありますが(文字通り燃えてますし、灯油も使いますし)、内訳を見ると電気ストーブと石油ストーブが半々です。これは、ストーブ火災の経過を見ると、「可燃物の接触・落下」と「引火・ふく射」が大部分を占めており、ストーブ自体が燃えるのではなく、ストーブの周りにあるものが燃えることが出火原因だからです。

図:ストーブが原因で死者が生じた火災のストーブ種別

グラフの出典について

以下の表から「ストーブの内訳」のみを抜き出し、独自にグラフにしています。

平成29年版 消防白書 第 1-1-11 図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成28年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成27年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成26年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成25年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)

ストーブの周囲を整頓して燃える物を置かない

 ストーブ火災の畳んだ衣類(いや、もちろん畳んでなくてもですが)、本や雑誌、座布団や布団など、燃えやすい物がストーブの近くに置いてあると、当然ながら燃えます。消防白書によれば、ストーブ火災の原因の半分以上は「近くにあった物に引火した」です。ストーブ自体が突然爆発するという事態は考えづらいため、とにかく「燃える物を近くに置かない」ことが何よりも重要です。

ストーブの上に洗濯物を干したり、ストーブをカーテンの隣に置かない

 前の項目と同じ内容ですが、ストーブの上に洗濯物が落下したり、ストーブをカーテンの隣で使用したことで出火するという事例が多々あります。(東京消防庁の統計に寄れば、ストーブ火災の原因の1割弱が「洗濯物の落下」、わざわざ項目が分けられることポピュラーな原因ということなのですね)。洗濯物を乾かすならエアコンにしましょう(防災ではありませんが…)。

石油ストーブの給油は火を消してから

 給油時にこぼれた灯油に引火する、という出火も全体の1割弱程度発生しています。給油をする際には完全に火が消えたことを確認するようにしてください。また本体ではなく取り外すカートリッジ式のタンクに給油する場合は、タンクの蓋しっかりとしまっているか、キャップの確認をよく行いましょう。

電気ストーブやファンヒーターは、未使用時に電源プラグをコンセントから抜く

 スイッチひとつで簡単に電源が入る電気ストーブやファンヒーターをつかっている場合、何かの拍子(スイッチの上に何かが落ちてくるとか、何かが倒れ込んでくるなど)でスイッチが入り、近くに置いてある可燃物が燃え出すという事故があり得ます。子供のいたずら防止(コンセントを理解していたら危ないですが)のためにも、未使用時は電源プラグをコンセントから抜いておくようにしましょう。

ストーブを付けたまま眠らない

 布団とストーブの相性はよくありません。布団の近くに火が付いたストーブを置いたまま眠るのは大変危険です。最初は距離があっても、寝返りで布団が動いたりするとストーブに接触して出火することがあります。またベッドで寝ている場合も、布団がベッドからずり落ちてストーブに接触して出火、ということも実際の事例として生じています。

放火による火災を防ぐためのポイント

 火災全体の出火原因として1位となる放火(建物火災の場合は、コンロ・タバコに次ぐ3位)は、自分の意思で完全に防ぐことはできませんが、「放火されづらい」状況を作ることはできます。防災というよりも防犯の要素が強いですが、自宅の環境を見直しましょう。

放火は特に夜間に注意が必要

 このグラフは、出火原因が「放火」及び「放火の疑い」である火災の時間帯別出火件数です。明らかに夕方~夜間に対して件数が増加していることが分かります。日中は目立つから放火しづらい、早朝は犯人が寝ている(?)ということでしょうか。特に夜間について、自宅周辺に燃えやすい物を置かないことが重要であることが分かります。

図:時間帯別放火による出火件数

グラフの出典について

以下の表を独自にグラフ化したもの。

平成29年版 消防白書 附属資料 1-1-33 放火及び放火の疑いによる火災の時間帯別出火件数及び損害額

家の周りに燃えやすい物を置かない

 ターゲットが明確でない放火の場合、火災の燃料になりそうなものが多い家はやはり狙われる傾向にあります。よく朝出すつもりのゴミや古新聞などを、夜のうちに家の周りに出しておくことは避けましょう。収集所であっても時間外にゴミを出すことは放火を招く要因につながるため絶対にダメです。

 灯油のタンク、夜中に干しっぱなしの洗濯物、防炎素材ではない自動車のボディーカバー、郵便受けに詰め込まれた新聞紙、枯れた植物がそのままになった植木鉢なども、放火犯のターゲットになりやすい可燃物です。こうしたものを常時人目に付く屋外に置くこともできれば避けた方が良いでしょう。燃えやすい物が入っている物置などがある場合も、扉に鍵をかけておくことが必要です。

防犯対策にも気を配る

 防災ではなく防犯の領域ですが、例えば自宅の敷地周辺にセンサーライトを取り付けて、人が近づいた際に明るく照らすようにする。砂利を敷き詰めて音が鳴るようにする。背の高い塀で完全に覆うのではなく、外から見えるような囲いにするなど、敷地内に放火犯を招き入れづらい構造にすることも有効です。

電気火災を防ぐためのポイント

 このグラフは、2012~16年の5年間に死者がでた住宅火災で火元が「電気器具」であった場合の種別を表したものです。半数を占める「電灯電話等の配線」は、壁の中にある屋内配線や、室内で使う延長コードなどが。4分の1を占める「配線器具」は、壁に付いている電気のスイッチやコンセント、延長コードのプラグなどが該当します。死者が生じる電気火災の大部分は配線器具が原因になっているわけです。

図:電気器具が原因で死者が生じた火災の器具種別

 なお電気ストーブは「ストーブ」の項目に含まれますのでここには入っていませんが、もしこのグラフに追加するとしたら、以下のようになります。電気火災は、その95%が電
気ストーブか配線器具によって生じているのです。

図:電気器具が原因で死者が生じた火災の器具種別(電気ストーブ込み)

グラフの出典について

以下の表から「電気器具」のみを抜き出し、独自にグラフにしています。

平成29年版 消防白書 第 1-1-11 図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成28年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成27年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成26年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)
平成25年版 消防白書 第1-1-14図 住宅火災の発火源別死者数(放火自殺者等を除く。)

配線・電線の異常発熱を防止する

 家電の電源コードや延長コードを束ねて利用したり、じゅうたんやカーペットの下に引いたまま使用したりすると、加熱して出火する恐れがあります。また延長コードやテーブルタップの定格容量(家庭用の場合は多くの製品は15A・1,500W)を超えた電流を流すとやり発熱して出火する恐れがあります。これは壁のコンセントも同様で、定格容量内での使用が必要です。

 さらにコードを家具で挟んでいたり、イスの足で踏みつけたまま利用をすると、コードが断線してその箇所の抵抗値が高まり異常発熱をします。またプラグがコンセントにしっかりと差し込まれておらずぐらついた状態になっていると、やはり抵抗が増加して発熱し出火する恐れがあります。プラグはきちんと差し込む、コードを踏みつけることはしない、などの管理が重要です。

配線・電線の短絡(たんらく)・ショートを防止する

 家電の電源コードや延長コードが古くなっていたり、踏みつけて痛んでいたり、劣化して堅くなっているような場合、コードの被覆が破れて電線の両極(プラスとマイナスですね)が接触し、短絡(つまりショートのこと)して出火する恐れがあります。古すぎるコードは交換するといった対応が必要になります。

プラグ周りのトラッキング(ホコリの炎上)を防止する

 家電のプラグを、コンセントやテーブルタップに差し込んだまま、家具の裏などに配意して放置すると、特に湿気や埃の多い場所では「トラッキング現象」が生じて、出火することがあります。トラッキング現象とは、プラグとコンセントの間にたまったホコリに湿気なり水分が入りこみ、小規模な火花放電が繰り返されて出火する現象です。特に洗濯機や冷蔵庫の裏など、湿っぽくてホコリがたまりやすい場所で生じやすい現象です。プラグの周りはマメに掃除をして、ホコリを溜めないようにしましょう。

家電の誤使用・経年劣化による火災を防止する

 電気ストーブの注意は前述の通りですが、一般的な家電も使い方を誤れば火災の原因となります。電気毛布やホットカーペットの上に重い物を載せて断線させてしまう、ドライヤーを付けっぱなしにする、電子レンジに金属を入れて加熱する、また正しくつかっていても経年劣化で古くなった家電が炎上するということもあり得ます。あまりアドバイスにはなっていませんが、「電気製品は正しく使う」「古くなり異常を感じた家電の使用は止める」「リコールや製品回収の情報に注意する」といったところです。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也Tomoya Takani
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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