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ガスバリア袋・気体遮断袋とは

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

真空パック保存や無酸素保存に欠かせない道具が、袋の内外の気体の出入りを遮断する能力を持ったガスバリア・気体遮断袋です。普通の袋では口を完全に閉じても気体を透過させてしまうため、ナイロンポリ袋やアルミ蒸着袋で酸素を遮断する必要があります。

ガスバリア袋とは

無酸素保存や真空パックに欠かせない道具が「ガスバリア袋」

 ガスバリア袋・気体遮断袋とは、空気(酸素や窒素)などの気体を通さない「ガスバリア性能」を持つ袋のことで、完全に封をすると袋の内外の気体の出入りを遮断することができます。ガスバリア性能がない普通の袋(レジ袋やゴミ袋)は、口を完全に閉めても袋そのものが微量の気体を透過させてしまいます。無酸素保存や真空パック保存を行う際には、気体の出入りを遮断する「ガスバリア袋」が欠かせません。

「普通の袋」で真空パックや無酸素保存はできない

 市販のビニール袋を買ってきて、家庭用の真空パック機やヒートシーラーで完全に口を閉じたとします。しかし袋が「普通の袋」である場合、完全に口が閉じられていたとしても。少しずつ外から空気が入り込んで、最終的に真空パック状態は破られてしまいます。これは、「普通の袋」にガスバリア性能・気体遮断性能がないことが原因です。

穴が開いていなくても気体は少しずつ「透過」する

 ゴム風船に空気を入れて、完全に口を閉じたとしても、数日たてば徐々に空気が抜けていき風船は縮んでしまいます。これは、「活性化拡散機構」と呼ばれる現象で、気体がゴム風船の表面、あるいはビニール袋の表面など、フィルム面からじんわりと浸透し、穴が開いていなくても袋の内外を出入りしてしまうためなのです。

※厳密には、圧力の高い側から低い側に対して気体分子が浸透していきます。真空パックや無酸素保存を行う場合、袋の中の方の気圧が低くなりますので、外から空気なり酸素が透過してしまうのです。

ガスバリア袋は、気体の「透過」を防いで外気を完全に遮断する

 ガスバリア袋は、このような気体の「透過」を防ぐ工夫が施されており、気体を遮断する性能を持っているのです。もちろん袋の材質や厚み、製造方法によってガスバリア性能・気体遮断性能は変わってきますから、用途に合わせて適切な袋を選ぶ必要があります。真空パック・無酸素保存にはガスバリア袋が必須、ということを覚えましょう。

ガスバリアの種類や特長

ガスバリア袋としてよく使用される材質には、次のような種類があります。

  • ナイロン
  • EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)
  • アルミ

基本的には下に行くほど高性能になります。

ナイロンポリ袋

 最も安価に用いられるガスバリア袋が、ナイロンポリ袋です。これは、ガスバリア性能はあまりないが使いやすいポリエチレン(いわゆるレジ袋や食品をいれる透明な袋)に、ガスバリア性能に優れるナイロンを蒸着させて作ります。ナイロンポリ袋は透明で扱いやすいためよく使用されます。真空パック用袋としても販売されています。

EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)樹脂袋

 ナイロンポリ袋と同じく透明で扱いやすく、より高いガスバリア性能を持っている袋が、EVOH樹脂袋です。クラレ社は「エバールR」、日本合成化学工業社は「ソアノールR」という商品名で製造をしています。後述するアルミ蒸着袋並のガスバリア性能を持っていますが、光を遮ることは当然できないため、用途によって使い分けられます。

アルミ蒸着袋

 スナック菓子、レトルト食品、お茶やコーヒーの袋などに用いられることが多い袋です。金属はガスバリア性能が非常に高く、アルミを蒸着させた袋は高い気体遮断性能を誇ります。EVOH樹脂袋と異なり、光を遮断することができますので、日光や紫外線で劣化しやすい食品の保存にも良く利用されます。

色々な袋とガスバリア性能について

ジップロックにガスバリア性能はありません

 食品保存によく利用される「ジップロック(Ziploc)」ですが、これは材質がポリエチレンであり、いわゆる「普通の袋」と同じです。そのためガスバリア性能は持っておらず、例え完全に口を閉じたとしても、真空パックや無酸素保存に用いることはできません。もちろん短期保存には便利な袋ですので、用途に合わせて活用するといいですね。

衣類圧縮袋はガスバリア性能を備えているが、脱気口がネック

 旅行などに良く用いられる衣類圧縮袋は、袋の材質にナイロン&ポリエチレンを用いたものが多く、素材だけで判断するとガスバリア性能を持っているように見えます。しかし、袋から空気を排出するための穴が開いているため、逆流防止弁が付いていたとしても長期間の密閉はできず、ガスバリア性能を発揮することはできません。

おすすめのガスバリア袋「虫キラー」

 ではなにかよい袋はないのでしょうか、あります。EVOH樹脂で作られたチャック袋で「虫キラー」という商品です。愛知県の袋メーカー「愛知商会」という会社が製造している袋で、お米や食品、衣類の脱酸素保存のために作られています。特長としては以下の通りです。

  • 高いガスバリア性能を持つチャック式の袋
  • チャック部分にも工夫があり空気を通しません
  • 5キロの米袋がそのまま入るサイズで、お米の保存に最適
  • 「気体に対する遮断性を有するチャック袋」の特許により作成

 私自身が「米保存マニア」なのですが、日本中の袋を取り寄せ、ヒートシーラーや真空パック機も自費購入し、色々なガスバリア袋を試してきました。その中で最も使いやすく、お米の保存に最適だったのがこの「虫キラー」です。

 あまりにも素晴らしい袋だったため、思わずメーカーへ連絡して交渉し、袋屋さんをはじめてしまいました。私自身が運営する「そなえるすとあ」で、この袋と脱酸素剤をセット販売しております。創業は2011年、ずいぶん長く続いているものです。

 ちなみになぜ「虫キラー」かと言えば、そもそものコンセプトが「無酸素で害虫を死滅させ、安全に衣類を保存する」という所からスタートしているからです。袋自体はクリーンルームで製造されていますので、直接お米などを入れても問題ありません。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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