管理しない日常備蓄「宅内仕送り箱」とは何か
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執筆者:高荷智也
低コストかつ食べ物を無駄にしない防災備蓄の方法である「日常備蓄(ローリングストック)」の弱点、保存対象が増えると管理しきれなくなる、という問題点を解決する、「宅内仕送り箱」による食料備蓄方法をご紹介します。

「宅内仕送り箱」はどういうものか
日常備蓄(ローリングストック)している各種の食料品について、同じくらいの賞味期限のものをひとまとめにして、これをいくつかの箱に分割して保存したものが「宅内仕送り箱」です。なお、食料品に限らず、定期的に消費し続ける日用品を追加しても構いません。
「10ヶ月の宅内仕送り箱」
具体例として「10ヶ月の箱」を取り上げます。
「10ヶ月の箱」は、賞味期限が1年以上ある食べ物を詰め込んだ箱を10箱作り、毎月1箱食べては補充、これを繰り返す日常備蓄方法です。
箱に入れる食べ物は次のようなものを選びます
- [重要]賞味期限が1年以上(最低でも半年以上)あるもの
- [重要]家族の誰かが好きで、必ず消費するもの
- [できれば]そのままでも食べられる物
- [重要]分量は1ヶ月で確実に食べきれる量にする
このようなものを入れた箱を10箱作ります。毎月1箱開封して、食べきります。食べたら、同じようなものを再度購入して、箱に詰め直して、保管します。この箱を開封するのは10ヶ月後です。
例えばこの写真のような食料品を入れます。お菓子類、パスタソースやおかゆなどのレトルト食品、ゼリー飲料、粉スープ、お茶漬けや炊き込みご飯の素、シリアルや栄養補助食品など、「賞味期限が1年以上」のものであれば何でも構いません。

この箱を10箱作ります。10箱というのは、賞味期限12ヶ月の食品を、購入・保存・消費するサイクルとしてちょうど良いからです。20箱作って月に2箱消費してもよいですし、逆に5箱にして2月で消費しても構いません。アレンジは自由です。

箱に入れる際には、大きめのゴミ袋(ポリ袋)を2~3枚重ねて入れるとよいです。湿気や空気の流れから食品を守る効果があり、また災害時に開封する場合はゴミ処理が問題となりますので、このゴミ袋が大変役立つことになるからです。
単品管理の「普通の日常備蓄」と異なる点
「普通の日常備蓄(ローリングストック)」では食品の種類ごとの管理が必要ですが、「宅内仕送り箱」の場合は、「毎月、とにかく箱に入っているものを全て食べて、月1回の買い物でまとめて補充すればOK」となります。
「普通の日常備蓄」では、品目が増えるほどに消費・補充の管理が煩雑になります。特に、「どれが古くてどれが新しいのか」を確認するのが非常に面倒です。
「手前に古いモノ・奥に新しいモノ」を置くことを徹底すればよいのですが、この構造を物理的に取ることが難しく、また一番古い食品の賞味期限がいつまでだったかを常に把握することが大変です。
しかし、例えば「10ヶ月」の宅内仕送り箱であれば、食品個々の賞味期限を把握する必要は無くなります。とにかく行うことは、「1番古い箱の中身を、1ヶ月で空にして、補充する」ことだけです、他に管理する項目はありません。
「宅内仕送り箱」のバリエーション
例として「10ヶ月の箱」を紹介しましたが、箱には賞味期限に応じてバリエーションを設けることも可能です。
5ヶ月の箱…インスタント食品やスナック菓子など
インスタントラーメンやカップ麺、スナック菓子やおせんべいなど、おおよそ賞味期限が数ヶ月~半年前後の食べ物があります。これらは10ヶ月の箱に入れるには、少々賞味期限が短めですが、定期的に食べているので必ず消費できる、という方・ご家庭は多いかと思います。
そこでこれらの食品を5分割して(別に4分割でも6分割でも構いません)、箱詰めします。そして1月に1箱を開封し、全て食べて、同じようなものを補充します。これで、賞味期限半年程度の食べ物を「5箱分」程度、常にキープすることができます。
20ヶ月の箱…レトルト食品や果物の缶詰など
アルミパウチのレトルト食品…、カレー、シチュー、牛丼、スープ、おかゆ、また果物の缶詰などは、賞味期限が2年程度に設定されています。これらの食品は「10ヶ月の箱」に入れて、1年以内に食べきってしまっても問題ありませんが、もっとたくさんの備蓄をしたいという場合には、分割することをおすすめします。
各種のレトルト食品や果物の缶詰を20分割し、それぞれ箱(袋でも何でも構いません)に入れます。そして毎月1箱の中身を食べて、補充します。これで、1月消費量の20ヶ月分を、賞味期限を気にせずキープすることができるようになります。
20ヶ月の箱の中にいれるものとしては、例えばこういった食品が考えられます。1ヶ月で確実に消費できる量だけをいれて、これを20セット作ります。
量が少ない場合は紙袋などに入れてもよいでしょう。賞味期限が2年程度ある食べ物は、そもそも「常温でその辺において置いて」も保存できます。簡易包装で構いません。
ある程度の量になる場合は、複数の箱などに収納してもよいでしょう。このダンボールには6つの「20ヶ月の紙袋」が入っています。半年ごとにこの箱をキッチン近くに取り出して、毎月一袋の中身を食べ、補充する、これを死ぬまで繰り返せばOKです。