お米(白米・玄米)が劣化する原因
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執筆者:高荷智也
お米が劣化する要因は「呼吸・酸化・乾燥・虫・カビ・におい移り」です。お米は生鮮食品であり、保存状態が悪いとすぐに味や品質が悪くなります。劣化原因を知りましょう。
お米が劣化する原因
お店で購入してきたお米の袋に、次のように書かれたお米の保存方法を読んだことはないでしょうか。
「風通しの良い冷暗所で、清潔な容器に入れて、できるだけ早く食べきること。」
お米は生鮮食品であり、保存状態が悪いとすぐに味(食味)や食感などの品質が劣化します。お米の品質を劣化させる要因としては、下記6つが主要素となります。
お米を美味しく新鮮な状態で保存するためには、これら、「玄米の呼吸」「お米の酸化」「害虫に食われる」「カビが発生する」「乾燥して割れる」「臭い移りをする」という問題を解決しなければなりません。特にお米を長期間保存する場合はなおさらです。お米の品質を悪くする原因と、そのための正しい保存方法を知って正しい保存を行いましょう。
お米の呼吸
玄米は呼吸をします。呼吸と言っても息を吸ったり吐いたりという活動ではなく、お米の栄養素と空気中の酸素による化学反応のことを意味します。玄米が呼吸をすると、栄養素(デンプンなど)が分解され、消耗され、味が悪くなっていきます。
玄米の呼吸は、お米に含まれる水分の量と周囲の気温が高くなるほど活発になります。夏場に急激な品質の劣化が生じるのはそのためです。具体的には下記2点です。
- 含水率(米に含まれる水分)が15~16%を超えると呼吸が盛んになります。
- お米の温度が高くなり、15~20度を超えると呼吸が盛んになります。
なお、白米は呼吸をしませんのでこの心配はありません(ただし後述の酸化という問題が生じます)。
お米の酸化
白米は空気(酸素)に触れていると酸化して味が悪くなります。白米の表面を覆っている糊粉層(こふんそう)が分解され、味が劣化したり、独特な臭い(古米臭と呼びます)が生じたりします。
玄米はこの糊粉層が果皮と呼ばれる層で覆われているため酸化しづらく、また無洗米はこの糊粉層が取り除かれているため、玄米同様酸化しづらくなっています。
白米の酸化は温度が高くなるほど活発になります。逆に保存する温度が10度以下の場合、品質の劣化はほとんど生じません。酸化の状況を調べるためには、白米が入っている袋や米びつにてを突っ込んでみます。手に白い粉のようなものが付着したら、酸化が進んでいる証拠となります。
虫の発生
お米は虫に喰われます、特に玄米は虫も好む栄養分が豊富であり、夏場などはすぐ虫にやられてしまいます。この虫たちは、気温が15~20度になると活動を始め、20~25度以上になると活発に活動をします。
冬場は気温が低いため虫たちは活動しませんが、春以降になり気温が上がり、室温が15度を超え始めると突然虫に襲われてしまうのはこのためです。虫を取り除けばお米を食べることができますが、心理的には抵抗がありますので虫を寄せ付けないことを考えた方がよいでしょう。
お米を食べる代表的な虫は、下記の2種類です。
ノシメマダラメイガ
蛾(ガ)です、主に玄米に付着します。胚芽やヌカが好物で、においをかぎつけて外からやってきます。幼虫の際は11mmほどの芋虫の形で、ヌカを食べて成長すると白い糸を出してサナギになり、羽化すると8mmほどの蛾になって飛んでいきます。
好物のヌカのためにはかなりの無茶をする虫で、買ってきた袋のまま玄米の保管をしていると、袋を食い破って中に入り込んでしまうこともあります。タッパーや米びつなどの密封容器で保存するようにしましょう。
穀象虫(コクゾウムシ)
玄米・白米ともに付着します。この虫は米粒の内部に卵を産み、孵化(ふか)した幼虫は内部からお米を少しずつ食べながら成長し、3mmほどの成虫になると米粒の中から出てきます。そのお米を食べながらまた他の米粒の内部に卵を産みます。卵から出てくる姿はひよこちゃんのようで愛らしいですが、憎き敵です。
コクゾウムシはタフな虫で、玄米を精米する程度の熱では死にません。また米粒の内部に潜んでいるため、成虫になって出てくるまでは存在にも気づけません。
カビの発生
お米にはカビが発生します。お米が直接水に触れたり、湿気の多い場所に保管して含水率(米の水分)が17%以上になると、特にカビが発生しやすくなります。お米に水がかかるような場所で保存をしていたり、梅雨の時期に湿度が高くなる場所で保存をしている場合には注意が必要です。
お米にカビが発生すると、全体的に灰色から黒ずんだような色に変色し、手に取るとなんとなくしっとりとした感じになります。はっきりと見て分かるほどに変色したお米は、もう食べない方が良いですが、発生直後の頃は気づかないこともありますので、保管状態によっては注意が必要です。
カビの中には発がん性物質を含むものもあります。食べた瞬間に死ぬということはありませんが、長期的には健康に害を生じる可能性がありますので、カビが発生したお米はできるだけ食べないようにした方がよいです。
お米の乾燥・におい移り
お米は、含水率(お米の水分)が高いと呼吸やカビで劣化しますが、逆に乾燥させすぎるのもよくありません。乾燥状態のお米を水に入れると割れたり、そのまま炊飯すると弾力がなく食味の悪いご飯になります。
また、お米はにおいが移りやすい食品で、肉や魚、灯油や洗剤など臭気が強いものの近くでお米を保存すると、お米ににおいが移ることがあり、乾燥同様に食味を損ないます。においがきつい物の近くで保存をしないようにするか、においを通さない密封容器で保存するようにしましょう。