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日常備蓄(ローリングストック)の利点・5つのメリット

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最終更新日:

執筆者:高荷智也

「日常備蓄」は安価かつ簡単に備蓄を行うことができ、さらに買い占めや非常時に強く、平時のトラブルにも対応可能になります。「普通の防災備蓄」に対して日常備蓄(ローリングストック)の優れる利点・具体的なメリットについて解説いたします。

日常備蓄(ローリングストック)の利点・5つのメリット

日常備蓄の利点①…無駄なお金がかからない

いつか使うものを先に買うだけ

防災専用に購入した非常食や防災グッズは、賞味期限・利用期限を迎える前に災害がこなければ無駄になります。しかし日常備蓄では、「いつか食べる物・いつか使うもの」を先に購入するだけなので、無駄なお金がかからないという利点があります。

もちろん、日常備蓄を取り組みはじめた瞬間こそ、普段より少し多めの買い物をすることになるため、若干の出費は必要になります。しかし取り組みをはじめてしまえば、それ以降の防災のための追加コストは不要になります。

補充は特売に行えばOK

また、自宅内に常に買い置きがありますので、「安い日」に補充できるというメリットもあります。必要なものが無くなってから補充する場合、そのときの価格で購入するしかありませんが、日常備蓄ではいつ在庫を補充してもよいので、スーパーの特売日や、お得なまとめ買いのタイミングで補充すればよいのです。

日常備蓄の利点②…賞味期限・消費期限の管理が簡単になる

「普通の備蓄」はチェックが面倒くさい

非常持出袋などのリュックサックに入れた非常食や乾電池は、うっかり賞味期限・利用期限を過ぎてしまうことがよくあります。これを防止するためには、半年~1年に1回の点検・入れ替え日を設定し、こまめにメンテナンスを行う必要があります。

日常備蓄は特別な管理が不要になる

しかし日常備蓄の場合、「古いものから消費して、使ったら(あるいは使う前に)補充する」を繰り返すだけですので、特別な期間管理が不要になる利点があります。確認が必要なことは、一番古いストック品の期限を超過しないようにすることだけです。

食品を食べる時は、賞味期限が一番近いものから食べる。日用品を使う時には、一番古いモノから順番に消費する。これだけで、面倒な期間管理から解放されます。

日常備蓄の利点③…突発的な災害に対応できる

「買い占め」という二次災害の存在

大地震の発生、大型台風の接近、噴火の速報、感染症パンデミックの発生など、突発的な自然災害が発生、または予報が発表されると、食料品や日用品の買い置きを増やそうとする方が急増し、しばしばスーパーやコンビニの商品棚からものがなくなります。

何かしらの自然災害の影響で、一時的にものがなくなる・買い占めが発生するという現象は、理屈やロジックでは説明ができない、「買い占めという二次災害」なのです。しかし、日常備蓄を行うと、日々の生活に不可欠な食料品や日用品を、常に一定数以上自宅に確保することができるようになりますので、慌てる必要はなくなります。

2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で市場からなくなったマスクと消毒薬

例えば2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミック(COVID-19)では、流行初期にまずマスクや消毒薬が市場から消滅しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で市場からなくなったティッシュとトイレットペーパー

さらにデマの拡散により、一時的にトイレットペーパーやティッシュペーパーも、売り場から消えて無くなりました。日常備蓄でこうした日用品を自宅に確保していれば、特に問題の無い状況ですが、準備がない場合には問題となります。

家族にとって不可欠なものがある場合には日常備蓄が必須

特に、赤ちゃんのおむつや粉ミルク、介護に必要な介護用品、ペットフードやペット用品、あるいは食品アレルギーに対応した食べ物など、「わが家には必須だけど、避難所ではすぐに手に入らない」ものがある場合は、突発的な「買い占めという二次災害」が生じると大きな影響を受けます。日常備蓄で慌てないようにする準備が有効です。

日常備蓄の利点④…非常時に普段の生活を維持できる

非常食や防災グッズは進化しており、昨今では「おいしい非常食」の種類も増えています。しかし「おいしい」とされる食べ物にも個人の好みがあり、また普段食べ慣れているかどうかで食欲も左右されます。

慣れない避難所で、リュックから取り出したはじめて食べる非常食が、スムーズにのどを通らないという状況は容易に想像できます。また自宅で在宅避難生活を行う場合、特に準備がなければ家中にある「食べられそうな物・使えそうなもの」をかき集めることになりますが、賞味期限切れの食べ物がたくさん出てくる姿も想定できそうです。

しかし、日常備蓄を行っていれば、「普段食べている食品」や「普段使っている日用品」を、そのまま非常用として使うことができますので、日常生活を非常時に延長させることが容易となります。食べ慣れているものを食べ、使い慣れているものを使うことは、避難生活における健康管理・ストレス軽減にも有効です。

日常備蓄の利点⑤…毒物や異物混入トラブルを回避できる

しばしば発生してニュースなどで報道される、食品パッケージへの異物混入や日用品の回収といったトラブル。またレアケースではありますが、犯罪行為による商品への毒物・異物混入といった問題も、希に発生して大きなトラブルとなります。

しかし、日常備蓄を行っていれば、「今食べている・今使っている」ものは、数週間~数ヶ月前に購入したものになりますので、こうしたトラブルに関する報道が発表されても、落ち着いて対象物を返品すればよくなります。

ある意味では、社会全体に毒味役をさせ、自分が食べたり利用したりする日常備蓄品は、安全が確認されたものだけとなる、という状態を作ることができるのです。「わが家」の防災対策としては有効な方法となります。

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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